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【147号】 利用は分散、管理は集中

■コンピュータはなくても情報システム
収穫した野菜を朝市に並べて、現金決済で売って帰ってくるような場合はさて
おき、仕入れた品物を売って、月末に回収するとなると、コンピュータはなくて
も情報システムが必要になります。

和紙と筆とそろばんを使って、顧客ごとの売掛金を管理し、また品切れを起こさない
ように、在庫管理します。

情報システムはコンピュータや端末、さらにDBの登場によって、見た目は大
きく変化してきたわけですが、実務とこれを写像する情報システムの関係に変
わりはありません。実務で発生した仕入れ、受注、出荷といったイベントを記
録し、在庫や売掛残を計算し、発注や請求につなげていきます。このとき、実
務の世界には矛盾はありえないのですが、写像された情報システムには、いろ
いろな原因から矛盾・不整合が発生します。

■不整合の発生
イベントは、誰が、誰に、何を、いつ、どこで、どれだけ、と言ったデータか
ら構成されますが、予想以上に不整合が発生します。当然これらのデータに関
する標準化が行われているわけですが、そのスキルや、それ以上に変化に対応
すべき体制や実践の不備によって不整合が発生するからです。

たとえば、受注イベントは一般には、顧客が発注イベントとして発行するわけ
ですが、当初営業が顧客と認識していなかった社内の工場やサプライチェーン
の関連会社が発行する場合があります。そのためコード体系が顧客と異なり、
さらにこれが購買部門の認識する発注先と微妙に重なって、経理部門の相殺処
理を複雑化しているといった場合があります。そこに急遽M&Aなどが生起す
ると、メンテに水漏れが発生しトラブルが発生するという次第です。

また、「何を」に関しても、営業の認識する商品と製造の認識する製品が食い
違っていて、調整が完了していない場合があります。簡単な事例としてPCを
考えましょう。買う人は性能が同じなら、ハードディスクがどのメーカーのも
のかは気にしません。しかし製造にとっては原価が異なるわけで、新しいハー
ドディスクを用いた製品は、同じ製品としては扱えません。当初の開発のタイ
ミングや担当が違っていたため、このような食い違いが残っているケースは少
なくありません。一般にユーザは大まかに、メーカーは細かく「何を」を認識
しますから、その順序は、
ダイエー>パナソニック、ソニー>日本電産、TDK
のようになるかと思われます。これがB2Bの標準化を難しくする原因のひと
つと思われます。

このような「誰が」や「何を」に関するデータを、われわれは経営資源という
意味で、「リソースデータ」と呼んでいますが、リソースデータに関しては、
上記のような、その設計/標準化のスキルにもまして、そのデータ管理の体制、
実践に大きな問題があるように思われます。

■メリハリつけたデータ管理
一般にリソースデータの設計/標準化は大規模開発の初めに、それなりの重要
性の認識をもって行われるわけですが、カットオーバー後、その維持管理体制
が崩壊/弱体化するケースが多いように見受けられます。その一因はハードシ
ステムと同様、完成すれば若干のメンテナンスで動き続けると誤解しているの
ではないかと思われます。情報システムは、ビジネス環境に応じて日々変化・
拡大し続けます。その上ITが大きく変化します。したがって、変化の少ない
インフラは、メリハリをつけてしっかり管理するのが得策ですが、十分理解さ
れていないのが現状です。

リソースデータはデータ共用/流通の要です。私はこれをメタデータと合わせ
て、システム広辞苑と称し、「全社に1個あるべし」と言っています。そして
「管理者なくして標準化なし、標準化なくして共用なし」、だからリソースデー
タの管理体制は、「最低2人、全社スコープで見ているべき」と主張していま
す。

■利用は分散、管理は集中
コンピュータの歴史は、メインフレームからC/S、インターネットと、デー
タ流通範囲の拡大の歴史だったといえます。これによって、部分最適から全体
最適が達成されます。営業、生産、経理、人事など多様なユーザが、世界中に
広がりました。利用は拡大・分散を目指します。

一方、そのユーザがSVOT(Single Version Of Truth)を要求します。整
合性の要求です。システムの大きさは整合性管理の大きさによって決まります
から、ITの進化に負けない管理技術・体制の進化が要請されています。処理
ロジックはパッケージやSIerに任せるとしても、ユーザ要件を満たすデー
タからなる、整合性を実現するインターフェースは、ユーザ企業自身で責任を
もって管理しなければなりません。最近話題のシンクライアント、SaaS、
仮想化、クラウドなどは、コストダウンと同時に管理レベルの向上を狙ったも
のと思われます。管理は集中し一元化した方がやさしいからです。情報システ
ムは「利用は分散、管理は集中」をめざして進化していくもののように見えま
す。