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【141号】 WHATとHOWの情報システム

■部品表
自動車産業では、ユーザニーズにフィットしたどのような新車を出すかが最大
の問題です。しかし安価・安全・高品質のために、その部品としては、できる
だけ確かな標準品を使用します。製品の生産数量を決めたらこれに必要な部品
を手配しなければなりません。そのために部品表が使われます。

車を作る仕掛けHOW−工程・手順−や合理化を図る人材・文化も重要ですが、
まずは新製品の仕様WHATが問題になります。
WHATが先行し、HOWがこれに続きます。
情報システムの場合も、ユーザニーズにフィットしたどのような製品−画面・
帳票−を提供するかが問題です。これを構成する部品−データ項目−には、安
価・安全・高品質を超えた厳しい制約があります。関連する受注品番と出荷指
図品番、また納品顧客番号と請求顧客番号、は一致しなければなりません。し
かし自動車と違って、事前に部品を調達する必要がないため、一般に部品表は
管理されていません。部品表どころではなく、製品すら何が造られているか把
握されていない企業も少なくありません。

■情報システムとは何
情報システムにおいては、受注、引当、出荷指図、出荷、納品、検収、請求、
支払のような連鎖があり、誰がいつどのような画面・帳票を作り、誰に渡すか
など、情報の生成・伝達・活用のシステムが、コンピュータを使う・使わない
にかかわらず決まっています。これをビジネスシステムと呼ぶこともできます
が、情報システムの要件/本質WHATを表しており、これを情報システムと
呼ぶことができます。
しかし、コンピュータを使うことが当たり前になったことから、このビジネス
システムをサポートする仕掛けだけを情報システムと呼ぶ人たちがいます。
「要件WHATは与えられるもの」としてその実装HOWを受け持つSIer
の見方です。実体は物理DBやこれにかかわるプログラムです。「造って動い
てなんぼ」というソフトウエアHOWが情報システムと呼ばれているのです。
このため、使われる用語が次のように異なって混乱する場合があります。
             ユーザ企業          SIer
 情報システム: ビジネスシステムWHAT   ソフトウエアHOW
 製品     : 画面・帳票            DB・プログラム
 部品     : データ項目            モジュール
注)このWHATを実装独立/概念、HOWを実装従属/物理と表現する場合
があります。

■ビジネスシステムが見えない
ユーザ企業とSIerのコミュニケーションは、疑義の発生しないビジネスシ
ステムに関するドキュメント、いわゆる要件定義、によらなければならないは
ずです。しかしユーザ企業には、発注管理ばかりで、設計したことの無い40
歳台のベテラン、SIerには手配士(元請け)とプログラマ(下請け)ばか
りという体制で、まともなドキュメントができないというケースが多くなりつ
つあります。
要はソフトウエアさえあれば、ということでパッケージとくにERPが導入さ
れ、解決された課題もあるわけですが、ビジネスシステムは画面・帳票の操作
マニュアルの裏に隠されて見えなくなり、ユーザはパッケージに使われている
という状態に陥っているケースが少なくないようです。もともと自社のビジネ
ス全体を把握している人は少なかったのですが、いまや部分を把握している人
も減っていると言うことです。
建物やプラントなどのハードウエアは一旦完成すれば若干のメンテナンスで1
0年、20年と使い続けられるのですが、情報システムは変化の激しい人間の
ビジネスの世界に対応するために、変化し続けます。したがってその仕掛けH
OWも常に変化し続けなければならないはずです。部分最適ではなく全体最適
を、ということでSOAが登場し、システムは大規模化しますが、可視化不全
ではメンテ変更の追随に時間がかかります。3K職場だと人材が集まらなくなっ
て、一層問題解決が難しくなっています。これで進行基準の契約に対応できる
のでしょうか。

■メリハリのある可視化プロジェクトを
やはり、情報システムのビジネスシステムWHATを軽視してソフトウエアH
OWに走りすぎたのがいけなかったのではないでしょうか。WHATを可視化
し、ユーザ同士、またSIerと疑義のないコミュニケーションのできる環境
を作らなければならないと考えます。といっても全社一斉にというわけには行
かないでしょう。パッケージやそこそこ問題の少ないレガシーの詳細は後回し
です。
そこで私は、まず重要な1,2のアプリケーションの画面・帳票とアプリケー
ション間メッセージ(ハイレベルメッセージと呼んでいます。アプリ間の在庫
が見えてきます)を素材に、業務フロー、概念IO、概念DBなどを成果物と
するビジネスモデリングを行い、人材を育成しながら、全体の要所を可視化す
るメリハリのあるプロジェクトの企画を提案したいと思います。ご興味のある
方は遠慮なくご連絡ください。