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【124号】情報システムのサイエンス(2)

■部品の標準化から始める
前回、サイエンス指向の前提として、「実装独立」「データ中心」「フェデレー
ション・アーキテクチャ」述べました。フェデレーション・アーキテクチャで
は上位にデータインフラを位置づけ、ここにリソースデータが含まれますので、
「共用リソース中心」を含みます。

情報システムと一番近いハードウエアのシステムはプラントや建物だと思われ
ます。プロジェクトを設定し、一品物を都度設計して建設するからです。資材
/部品はなるべく標準品を使います。したがって設計とは組立図と構成部品の
仕様を規定することになります。ハードウエアの場合は、製品も部品も目に見
えますが、情報システムはこれらが見えません。またハードウエアには長い歴
史があり、部品の標準化が進められましたが、情報システムは40年ほどの歴
史しかなく、しかもITの変化が激しく、標準化ができていません。
したがって、情報システムの場合は、部品の標準化から始めて、関係者すなわ
ちビジネスユーザ、システムアナリスト、プログラマ−、コンピュータが、正
しくかつ効率的にコミュニケーションできるための、部品および組立図のドキュ
メンテーションを確立しなければなりません。
■ドキュメンテーションにはエンジニアリングを適用
ドキュメンテーションそのものにはサイエンスは存在しないように思われます。
アートというわけには行きませんから、エンジニアリングが適用されます。す
なわち自然言語は極力排し、図と表を活用することになります。図はものとも
のとの関係を最もわかりやすく表現します。プラントや建物での部品の関係を、
図なしで表現することは考えられません。しかしこれより複雑な情報システム
が、これまでまともな図無しで作られてきたのは驚きです。
図は人間のパターン認識を活用して効率的なコミュニケーションを可能にする
ものです。対象が似ている場合は、似た図となるようにしてノウハウの整理・
蓄積ができます。実際後述する6業種大分類はデータモデル図の類似性から生
まれたものです。したがって似た対象物が似た図になるような文法を備えた図
法であるべきです。単にアイコンの形だけ決めた図法では不十分だといえます。
このためにはレイアウト規則が非常に有効です。レイアウト規則はしかし「こ
うなければならない」といったサイエンスから決めることはできません。一度
使って慣れた書き方からの移行は案外難しいので、関係者の多いビッグプロジェ
クトでは課題となります。
なお、コンピュータは図が読めませんので、等価な表、すなわちDBに変換す
ることになります。設計図はメタデータですから、メタデータ用のDB、リポ
ジトリ上に反映し、これによってコミュニケーションすることになります。
■データ系部品の階層
ドキュメンテーションの対象となる部品をいかに規定するか、これが情報シス
テムにサイエンスを持ち込む最大の課題かと思われます。物理学では化合物、
分子、原子、素粒子などと要素還元論が適用されるのですが、情報の世界でも
実装独立の世界では、データ部品に関しては、DBタイプ(販売、生産、経理、
人事など)、エンティティタイプ、属性と階層的な部品展開が可能になるよう
です。
ビジネスを駆動する画面・帳票を、情報システムの製品と考えれば、情報シス
テムは属性を原材料とする一種の組立加工工場と考えられますので、製品仕様
すなわち画面・帳票を決めることによって必要な原材料、すなわち属性を決め
ることができます。これをエンティティタイプごとに整理し、次にDBタイプ
ごとに整理することになります。
■プロセス系部品の階層
プロセス部品は粒度の設定に個人差が出やすいので、要注意です。われわれは
データ部品とこれを作るプロセスを対応付けてこれを解決します。すなわち
 加工属性 →加工プロセス(L1:中間部品製造相当)
 画面・帳票→画面・帳票作成プロセス(L2:製品組立相当)
のように、プロセス部品を、いわばデータ部品の裏に隠蔽する形式で扱います。
このようにデータ部品と対応付けのできないプロセス部品は、アプリケーション
とは独立のプラットフォーム系の部品かと思われますので、別管理と考えます。
このように画面・帳票はデータ系とプロセス系を繋ぐ要の部品とします。これ
はある担当者が、あるトリガに基づいて作成し、ある担当者に届けるわけです
が、この一連の配送プロセスを業務プロセス(L3:物流相当)と定義し、業
務フロー図(IPFチャート)で表現します。これを束ねたものがシステム/
サブシステムという粒度(L4)、さらにこれを束ねたものを業務ドメイン
(L5)と呼んでいます。業務ドメインは、販売、生産、経理、人事などのD
Bタイプと一致させるべきと考えています。このL5−L2までのプロセス系
の階層は、EXCELなどにより、WBS(Work Breakdown Structure)で表現します。
■分類学的サイエンスの適用
このような部品展開の階層
 データ系 :DBタイプ→エンティティタイプ→属性
 プロセス系:業務ドメイン→システム/サブシステム→業務プロセス→画面・
帳票を前提としてサイエンスの適用を考えました。それは仮説を立て検証すると
いうよりも、多くの事例から似ているものを集め、抽象化によりパターンを発見
するといった分類学的ないしKJ法的なアプローチだったかと思います。
それによって、一部仮説レベルを含みますが
①各種KEY・参照KEYのほか、15種類の加工属性の分類(G、X、S、ほか)
②加工処理に関する11種類のSPF操作子の提案(J、S、G、E、ほか)
③エンティティタイプ5大分類(リソース、イベント、要約、ほか)
④画面・帳票の6種大分類
⑤DB4大分類(メタ、リソース、DWH、業務系)
⑥バリューチェーン系とリソース整備系から成る企業モデル
⑦6業種大分類
などを提案し、有効であることが実証されました。(次号に続く)