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【第98号】DOAスキルレベル

DRI通信98号「DOAスキルレベル」       2004.11.1
猛暑、台風、熊、地震と騒いでいるうちに、寒くなって風邪を引く人が出てまいりました。油断なく気をつけていると、風邪はほとんど防げます。冬へ向けて元気に過ごしましょう。
10月28日、本年最終回のDOA+第2分科会がありました。講師はNEC、BIGLOBE構築運営本部の桧垣さんで、タイトルは「ビジネスルール中心/アーキテクチャ中心による業務システムのノンプログラミング開発」です。変更が激しく、短納期、かつ絶対エラーの出せないBIGLOBE事業のアプリケーションを、ノンプログラミングで支えるために、4レベルに分けたビジネスルールをEXCEL上で組み立て整理し、それをビジネスルールエンジンで駆動するというユニークなものでした。
■DOA復活
電気製品は日本全国どこでも電源とつながります。コンセントの仕様、すなわちインターフェース仕様が標準化されているからです。プログラム同士や、いくつものプログラムから構成されるアプリケーション同士も、インターフェース仕様が標準化されていれば、自由につながるはずです。インターフェースはデータから構成されますから、まず個々のデータを標準化しよう。これがDOA、データ中心アプローチです。n個のコンポーネントのインターフェースは必然的にハブ構造を要求しますから、概念DBの標準化を推進することになります。


90年代は、C/Sによるダウンサイジング、VB、ERP、Y2K、B2B、JAVAなどに忙しく、DOA後退の10年だったと言われています。一方、SCM、CRM、連結会計、オペレーショナルDWHなど、統合化のニーズは確実に高まりつつあります。このため、その間に入社した若手SE達のデータモデリング・スキルのダウンが心配されていましたが、最近になって、DOA復活の機運が出てきたように思われます。そこで今回は、DOAスキルレベルについて、考察します。
■DOAスキル5段階
25年近いDOAコンサルの経験から、私はそのスキルを次ぎの5段階に分けられるように思います(弊社THモデルを前提にして記述)。
L1:DB構造部分図が書ける
L2:DB統合図のレイアウトができる
L3:DB統合図上で加工データのトレースができる
L4:異質のDBの統合が適切にできる
L5:メタメタデータのモデリングができる
L1は、1枚の画面・帳票のデータ分析ができると言うことです。そこにどのようなエンティティのどのような属性が含まれているかを分析し図に表します。1枚ですからさほど広い範囲の業務知識は要りません。1個の情報システムの製品が、どのような部品からできているかを分解整理する作業です。原則として実際のデータの記入されている画面・帳票サンプルを使います。「このデータが決まればこのデータが決まる」と言ったデータの相互関係の解明がポイントです。ケースによってブランクだったりする項目もありますが、これもサブタイプを見つけるためなど、大切な意味を持っています。データの見出しが省略されているとか、生産現場の特殊用語など、ユーザにヒアリングしなければならないことが多々あります。データの意味と図の描き方のルールさえ覚えれば、誰にでもできる作業です。ユーザがやるのが一番よいのですが、システム担当者がやるときは、結果をユーザにレビューしてもらうのが原則です。センスの良い人は、5枚も分析したらほとんど間違えなくなります。データから業務を見るための非常に良い訓練になります。
L2は、L1で作った複数枚(一般には10−50枚)の画面・帳票に対する部分図に含まれるエンティティ対応の箱を分類し、正しくレイアウトすることです。エンティティは、まずリソース、イベント、在庫型、要約、断面の5つに分類します。リソースは業務横断に共用されるべきですから、他のエンティティと独立に一括し図表現しますが、社内関係、設備関係、社外関係、モノ関係、その他に分類して、左から右に、また粒度によって上から下に配置します。イベント等はアプリケーションごとにまとめますが、生成順序によって左から右へ、そして粒度によって上から下に配置します。そのエンティティの意味、システム全体での位置づけを正しく理解していないと、正しい配置ができませんので、配置をレビューすることによって、分析者の理解度やスキルを知ることができます。これが正しくできるようになるには、かなりセンスの良い人でも2ヶ月くらいかかるようです。
L3は、L2のDB統合図に表示された属性のうち、加工データ(チェックデータや意思決定データを含む)を識別し、この処理過程を図上でトレースすることです。加工元データが別のエンティティに配属されている場合は、JOINやSUMMARY操作が必要ですから、KEY−参照KEY関係を利用してトレースします。またサブタイプ固有の加工データは、サブタイプ関係を利用して抽出する操作が必要になります。逆にこのような加工データ分析を通じてサブタイプが正しく切り出されると言うことができます。したがって、サブタイプごとの加工データが正しくトレースできるということは実装段階での手戻りや、結合テストでのエラーがほとんど出ないことを意味します。交通事故は交差点で多発しますが、サブタイプは交差点相当ですから、これが読めてないとは、交差点に信号がついてないようなもので、トラブルの原因を作ります。われわれは全ての交差点に信号をつけて品質を上げることを主張していますが、このような主張をする方法論はほかに見たことがありません。加工データのトレースによってDB統合図は、感覚的ですが70点から95点まで上がると思います。通常、L2が終わってからL3というより、L2とL3を同時にねらうことから、L2からL3までの成長に要する期間は1ヶ月以内のように思われます。
L4は、事業部ごとのシステム統合、子会社システムとの統合、M&Aでの統合、業界でのデータ標準化などで必要な技量です。データの意味を正しく捉える柔軟な理解力や適切な落し所を考える創造力、またヒアリング力、折衝やマネジメントの力が要求されます。L4にはL3のスキルが必要ですが、別途各種アプリケーションや、幅広いシステム開発に関する5年以上のスキルが必要かと思われます。L4の人はデータモデリングの指導や、大規模プロジェクトの管理者を任される場合が多いのではないかと思われます。
L5は、DB、エンティティ、属性、画面・帳票、システム、その他各種メタメタエンティティ、およびその属性など、メタメタコンポーネントをモデル化するスキルです。リポジトリや開発ツールは、メタデータをそのコンテンツとして扱いますので、これを作る人のための特殊なスキルと言う見方もありますが、システム問題全般に関する高度の洞察を得ることができます。対象はほぼ同じはずなのに、種々のモデルが提案されており、その中には、品質に問題を持つと思われるものが多々見られます。その原因は、?きわめて抽象的な思考が必要になるため難しい、?方法論が未熟で、分析素材が確定していない、?関係者が少ないため力が入らない、?ツールのロジックで解決してしまう(ツール開発にはDOAより、手早いからとPOAを適用する)、などであると思われます。私は、実装独立と実装従属を分離した方法論により、分析素材をしっかり固める必要がある、と考えています。実績からして、L5のためには、センスの良さ、方法論の健全さとともに、方法論研究などにおける、5年ないし10年のメタデータ扱いの経験が必要かと思われます。