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【第78号】意思決定データ

DRI通信78号「意思決定データ」           2003.3.3
東京地方、雪は積もりませんでしたが、冬らしい冬で、桃が咲くにはまだ間がありそうです。秘策を講じていましたが、私もついに風邪にやられました。皆様はいかがですか。
2月6日には恒例の「データベース特別研究会」を行いましたが、多数ご参加いただき、また、奥井規晶様(ベリングポイント)、中山嘉之様(協和発酵)、はじめ時機を得た、実のあるご講演をいただき、大変好評を頂くことができました。
■インプットデータ
われわれがコンピュータを使うとき、キーボードやマウスを使ってインプットをするわけですが、そのインプットするデータは、次のように分類できます。
A.コンピュータの使い方に関するデータ(パスワード、プログラム名、ファイル名など)
B.コンピュータにストアさせるデータ
B1.リソースデータ
B11.定義データ(品番マスターや顧客マスターなど)
B12.ビジネスルールデータ(標準単価、発注点、標準出荷倉庫など)
B2.イベントデータ
B21.観測データ(POSデータ、受注データなど)
B22.意思決定データ(販売予測データ、発注データ、人事考課データなど)
C.コンピュータに送信させるデータ(EMAILの内容など)
今回はこのうちのB22.意思決定データについて考えて見ます。


■意思決定データ
「B22.意思決定データ」は、さらに次の2つに分類できます。
B221.オペレーショナル意思決定データ
B222.経営資源変革意思決定データ
B221は経営資源の枠組みの中での意思決定データです。販売予測データや発注データはこちらになります。B222は社内組織、取引先、商品など経営資源/リソース系の枠組みを変革する意思決定に関わるデータで、採用先大学・学部・人数、人事考課、組織改定、キャンペーン先、顧客ランク付け、開発商品優先度・期間などが含まれます。一般にはB221は戦術的、B222は戦略的に見えますが、完全に対応するわけでもないように思われます。
前回にも触れましたが、これら「B22.意思決定データ」さえ適切に決められるならば、コンピュータなしでも、企業はそこそこ回っていくものであり、永遠に人間主役が続く領域と言えます。しかしあまりに属人的ですと、知恵の蓄積や共有、発展ができませんので、過度にならない範囲での形式化が行われます。
■意思決定元データ
その一つが、意思決定元データ(判断元データとも言う)とのリンクです。販売予測データについては、過去の販売実績データが参考になるはずです。発注の場合は、発注先、納期、発注数量などが意思決定されますが、ケース種別(サブタイプ)によって、リンクのしかたが異なる場合が多いでしょう。発注数量については
 発注数量=所要数量(予測)+適正在庫数量−実在庫数量(予測)
から決まりますので、この予測に基づいて計算した発注数量を意思決定元データとしてリンクすることができます。ただし、適正在庫数量を意思決定データとし、発注数量は単なる加工データとする考え方もあります。
販売予測データは、当初は何らかの予測手法に基づく加工データとしての予測値かもしれませんが、ある時点からは意思決定データにしなければなりません。この場合の意思決定元データは、前回/前月の販売予測データということになるでしょう。
■元データとのリンク
このように「B221.オペレーショナル意思決定データ」については意思決定元データとの関係が、リンクできますが、「B222.経営資源変革意思決定データ」については簡単ではありません。人事考課では、何らかの評価点数をつけるのでしょうが、ほかの色々なデータが関係するでしょう。商品開発優先度などはさらに多くの元データとリンクしなければならないものと思われます。このように多くの元データが絡むとなると、その戦略的重要性が大きくかつ件数が多くないこともあって、これらをリンクする意義・メリットがはっきりしにくくなります。
逆に、出荷の場合の出荷倉庫などにおいては、件数が多いこともあって一段と標準化が進められます。すなわちイベント発生の都度、意思決定元データを決めるのでなく、届け先や商品対応に、「B12.ビジネスルールデータ」として、あらかじめ標準出荷倉庫を用意しておいて、これを意思決定元データとする方式がとられます。商品販売単価やリベートについてもほぼ同様に、標準値が決められ、これを意思決定元データする方式が一般的です。ただしJRなど公共性の高い場合は、標準単価がそのまま販売単価になるなど上書きができません。この場合、販売単価は意思決定データでなく冗長データ(コピーデータ)として定義することになります。
■ 加工データの一種として
このように意思決定データは、元データとのリンクがあるため、われわれはこれを加工データ−本当は「関連データ」とか「被制約データ」と命名した方が良かったかもしれませんが−の1種として扱います。元データからどのように算出するか、その式は担当者任せになるので、記述できませんが、何を意思決定時に使うか、その素材を明示するだけでも、十分意義があると考えるからです。
なお販売予測データは、商品の数が多く、その意思決定に多くの時間がかかるケースが一般的です。そこで実用的観点から、より粒度の大きい品種ごとに意思決定してから、比例配分するなど、意思決定データの数を絞るための種々の工夫が考えられています。なお販売計画・生産計画に関するいくつかの工夫については、ITソリューション2003年1月号に寄稿しておきました。
ところで「B21.観測データ」に関しては、数が多いこともあり、生産性や品質向上のため、バーコード読み込み、EDI・B2Bなど、そのHOWについて多くの工夫がなされてきました。しかし「B22.意思決定データ」に関しては、その意思決定元データの表示など、そのWHATについて、精度向上などのための工夫がまだまだ不足していると考えられます。このための事例に基づく研究の必要性が感じられますが、合理化の第一歩は、まずは意思決定データと観測データの区別から始まるものと思われます。
またDOAによるBPRに対するアプローチも、この意思決定データから展開できる可能性がありそうに思われます。「データに影響を与えないBPRはありえない、BPRは必ずある目標値を目指すはずだ」と考えるからです。したがって私は、「ある企業において、経営上重要な意思決定データ上位20個を全員が共有できたら面白いな、そしてこれがDWH/BIの設計条件と深く関わっているはずだ」などと考えています。ドライブにたとえれば、ハンドルの角度、アクセルやブレーキのスピードや強さは意思決定データに、そしてフロントグラスやバックミラーを通して見える前方や後方の景色がDWHに相当するものではないでしょうか。