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【第66号】第2のアンバンドリング

DRI通信66号「第2のアンバンドリング」 2002.3.1
Y2Kが終わり、ERPの限界が見えてきたためでしょうか、「IT上級副社
長の第1の関心事はメタデータである」など、このところ英文の文献では、
メタデータや統合についての記事が目立ちます。データ流通のためのデータの
整備・標準化は、建物における基礎工事のように、人目を惹きませんが、シス
テム規模の拡大とともに、重要性を増してくるものかと思われます。厳しい経
営がつづきますが、日夜がんばっています。ご支援よろしくお願いします。
■アンバンドリング
さて今月のタイトルには「アンバンドリング」などと言う、年寄りには懐かし
い、しかし今時の若者には聞きなれない言葉が登場しました。きっかけは最近
読んだ「情報サービス産業人物列伝−ソフトウエアに賭ける人たち」(コンピ
ュータエイジ社)にあります。日本のソフト産業をリードしてこられた24人
の方々を紹介しているわけですが、佐藤孜氏(日立ソフトウエアエンジニアリ
ング)、佐藤雄二朗氏(アルゴ21)、服部正氏(構造計画研究所)など何人も
の方が、ハードウエアのおまけのような位置づけだったソフトウエアの価値を
認めさせるためにご苦労され、結局ソフトウエアのアンバンドリングによって
それが達成されていったと語られていたからです。


「ソフトは有料である」という今から考えると当たり前のことが、初めは当た
り前でなかったわけです。したがって今度は「業務モデルがソフトウエアから
アンバンドリングされて有料になる」ことも決して不思議ではないし、この第
2のアンバンドリングによって始めて情報化社会が健全なものになる、そして
同時にナレッジマネジメントも本格化するのではないかと私は考えました。
■巨大さ・複雑さを支えきれないシステム技術
もちろん人によっていろいろな見方があるでしょうが、私は今の情報化社会は
不健全だと思います。「UFJ銀18万件二重引き落し」は、たまたまUFJ
に起こりましたが、どこにでも起こりうるトラブルです。巨大で複雑なシステ
ムがシステマティックに把握できなくなっているのです。巨大で複雑なシステ
ムを構築するためには、それに耐える基礎技術が使用されなければならないは
ずです。
東京都庁を建てる時は、建築基準法に基づき、耐震計算をして、十分な太さの
柱や梁を決めなければなりません。はじめに勘と経験で10階くらいまで造り、
必要に応じて、11階、12階、と継ぎ足していくなどということはしません。
そんなビルは何時「くしゃっ」と潰れるか危なくて仕方がありません。しかし
今の巨大システムはこんな作り方をしているように思われます。
コンピュータに投入したデータは実世界の反映です。同じデータを何回も投入
するのは馬鹿げていますからこれを使いまわすのは当然です。部分最適化より、
全体最適化が有効ですから、システムは統合化され、データの流通範囲が拡大
します。便利だ、有効だとしてシステムは拡大しますが、いつしかこれが人の
管理範囲を超えてしまいます。変更が発生したとき、その影響範囲がつかめなく
なります。システム拡大も結構ですが、サブシステム独立とセキュリティがこ
れと抱き合わせでなければならないはずです。そうでなければそれは欠陥技術
ではないでしょうか。列車は標準化された連結器で繋がっていますので、組替え
自由です。しかし今のソフトは列車と列車を溶接して繋いだようになっている
ように見えます。
■業務標準仕様は可視化・共用可能\n65号でも書きましたが、大づかみに
ソフトウエア=業務標準仕様*ソフト化標準仕様
ここに、
業務標準仕様=業務プロセス標準仕様+業務データ標準仕様
ソフト化標準仕様=f(IT環境)
であると考えられます。
そして、ソフトウエアは本質的に可視化できませんが、業務標準仕様は図や表\nによって可視化できます。可視化によってシステマティックな把握や情報共有
が可能になります。ソフトウエアは原則として本来、業務標準仕様とソフト化
標準仕様から生成すべきものであり、人間が書き下していくべきものではないと
考えます。たとえば、入力画面に項目Aを追加したくなったときは、業務標準
仕様としての画面定義を変更し、入力処理プログラムを再生成すべきと考えます。
第1次アンバンドリングは、ハード、OS、ミドルウエアなどのインターフェ
ースの標準化によって実現されていきました。第2次アンバンドリングを実現
する鍵も、第1次の時と同様、標準化のはずです。今回は業務標準仕様の記述
−業務プロセスや業務データの表現やリポジトリの形式−とソフト化標準仕様
の記述−画面・帳票や物理ファイルのパターンなど−における標準化が必要に
なると思われます。
■かまぼこ型業務アプリでのアンバンドリング
第1次アンバンドリングのときのソフトウエアは、コンパイラーやDBMS、
ミドルウエアなどシステムアプリケーションを念頭に置いたものであったよう
です。ソフトの機能は指定されますが、業務仕様は指定されません。第2次で
の課題は、画面・帳票を通じて業務仕様の指定される業務アプリケーションです。
処理ロジックから作られるシステムアプリとデータ構造に縛られる業務アプリ
は、性質が大幅に違いますので、私は前者ははんぺん型、後者はかまぼこ型−
データ構造がかまぼこ板に相当する−と言っていますが、この違いに対する認
識がまだ行き渡っていないように見えます。このかまぼこ型アプリにおいて、
業務仕様を可視化し、共用・流通させ、価値を認めるアンバンドリングが必要
なのです。今は第2次アンバンドリング前の黎明期に当たるもののように見え
るのですがいかがでしょうか。
現状のERPは、業務標準仕様をプログラムと分離してみせる第2次アンバン
ドリングのコンセプトを、持っていないか、持っているとしても極めて希薄な
ように見えます。その意味では1世代前のコンセプトでの合理化成果物と言え
るように思われます。またオブジェクト指向に解を求める人の中には、業務ア
プリケーションのかまぼこ型が見えず、まだ第2次アンバンドリングのコンセ
プトを理解しておられない方がいらっしゃるように見えます。是非業務標準仕
様の価値を確立する方法論を手掛けてほしいと思います。