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【第63号】レガシーシステム可視化の試み

DRI通信63号「レガシーシステム可視化の試み」 2001.12.1
札幌は雪とか、関東地方も大分寒くなりましたが、皆様お元気ですか。
不況風が吹いていますが、ERPブームやY2Kが終わり、データの流通を図
るにはやはりと、少し落ち着いてデータモデリングやデータの意味を考えよう
とする動きが戻ってきたように見えます。
さて今月は、やや趣きを変え、弊社概念リポジトリを活用して取り組んでいる、
レガシーシステムの可視化について考察します。
■レガシーシステム
ERPで企業内システムを統合し、これをベースにDWHの構築、さらにB2B
によってSCM(Supply Chain Management)やCRM(Customer
Relationship Management)を実現する次世代ERPの構想が発表されていま
す。しかし暗黒大陸のようなレガシーシステムが足枷となって企業内システム
の統合すら満足に進められず、再構築した部分もまたレガシー化して保守地獄
から抜け出せない企業も少なくないようです。


レガシーシステムとしては、VSAMや構造型DBMSを用いたメインフレー
ムのCOBOLやPL/Iのシステムが典型的かと思われますが、UNIXや
NTのシステムであっても、担当者以外には容易に見えないシステムは、やは
りレガシーシステムと言うべきでしょう。
レガシーシステムの実態としては、次のような指摘ができるでしょう。
・ドキュメントが無い、あるいはこれが旧く、プログラムをトレースしなけれ
ばならない、などシステムの理解に時間が掛かる
・物理ファイルとエンティティの対応がn:mとなっていて、ファイルの意味
が分かり難い
・似た名称・不適当な名称のデータ項目、また冗長項目・死んだ項目などデー
タ項目数が多く解析に時間が掛かる
・読みが効かないため、修正対応に不要な試行錯誤が発生し、時間とコストが掛
かる。
・概念DB構造図など鳥瞰的共通理解の基盤がなく、狭い領域の属人化した保守
が行われ、ローテーションが難しい
■劣化の原因
レガシーシステムの劣化は、保守の度に進行しますが、その理由は、機能の追
加・削除・変更において、実際に行われるのはファイル・データ項目・ロジッ
クの追加だけであって、原則としてこれらの削除が行われないからです。これ
によって冗長ないし死んだ項目やロジックが累々と溜まっていきます。イスラ
エルやギリシャの遺跡のようですね。
なぜ削除をしないのか、その理由は次のようなものかと思われます。
・取り敢えず動く
・テスト回数を最小限にしたい
・復活するかもしれない
・他への波及分析に時間が掛かる、時間がない
・他の関係者が動員できない、他人の手を煩わせたくない
・誰が関係者か分からない
・資源管理者(データ項目やロジックの検死責任者)や手順が決まっていない
・死骸が残っても誰も怒られない
・資源管理者がいてもユーザが使用しているか否かは知らない
したがって「それなりに合理的な保守方針によって、レガシー化が進むのだ」
と言えるでしょう。開発し、保守し、いよいよ耐えられなくなって再構築する、
その間は放置し劣化にまかせる。これが従来の基本的な考え方ですが、この考
え方は本当に正解なのでしょうか。そしてこの責任者は誰なのでしょうか。開発
担当SE?システム部長?ユーザ?CIO?経営者?
■PLAN−LSV
弊社も今までは「正しい要件定義」、「合理的開発方法論」を追求してまいりま
したが、保守については本格的に取り組んでいませんでした。しかし今やDOA
の全貌がはっきりし、ツールも第1版ですがTHeRepositoryができてきて可視化
が容易になってきました。そこでこれらのノウハウやツールを活用し保守問題
の合理化ができないかと研究をはじめました。
すなわち保守問題の大きな原因は、システムが鳥瞰的に見えないこと、これが
可視化できれば、大幅な改善が期待できるのではないか。そこで始めたのが、
現行システムの可視化による保守合理化として
・保守スピードアップ(1Wを1Dへ)
・保守コスト削減(1/2へ)
・形式知化による属人化排除
・保守要員ローテーション容易化
・守備範囲拡大
・開発要員確保
を、また同時にDOAパラダイムへの変換として
・データインフラ構築(リポジトリ+標準リソース+可視図表作成)
・データ管理体制・文化確立(データ管理者・ビジネスエンジニア+方法論)
・DWH構築/B2B接続/再構築/ERP導入/M&Aへの事前準備
・業務モデル共有によるアウトソーシング時代への体制準備
をねらう方法論PLAN−LSV(Legacy System Visualization)の開発です。
■物理ファイルフォーマットを素材に高いROIをねらう
これまでのPLAN−DBも、実は代表的画面・帳票を素材とする現行システ
ムの可視化だったと言えますが、今回は物理ファイルフォーマットを主素材と
して可視化し、さらにこれと概念データモデルとの紐付けを行います。即開発
を行うというわけではありませんので、モデルの品質をそこそこに押
さえ、またTHeRepositoryの概念・物理紐付け機能を活用してROIの改善をね
らいます。これまでの実験プロジェクトの結果からは、われわれとしてはかな
りの手応えを感じております。
たしかに近々再構築が予定されていると言うならば、従来のPLAN−DBで
良いかと思われますが、まだ4,5年先というならば、保守合理化と同時に次
のステップアップを準備するPLAN−LSVも、かなり有力な方法かと思わ
れます。ご関心のある方は、なんなりとご連絡ください。なお12月11日の
K2W勉強会は保守問題を扱いますので、ご入会申し込みの上、ご参加頂くの
も良いと思います。