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【第59号】決めるもの、決まるもの−その1

DRI通信59号「決めるもの、決まるもの−その1」2001.8.1
本格的な夏らしい夏も、休みが取れないので、いたずらに過ぎていきます。週
末もつい仕事を持ちかえり、海水パンツをはいて自転車で30分、海に着いて
ドボンと飛び込んで小一時間泳ぎ、濡れたまま自転車で帰ってくるだけが気分
転換。体調が良いのだけが幸いといった日々を過ごしています。暑さ負けや、
クーラーで風邪、なども聞こえてきます。皆様はいかがですか。本当に暑いの
もあと3週間、どうぞお気を付け下さい。
58号[DOAの4世代」については、意外に反響をいただけませんでしたの
で「まあそんなものかな」として受け取られたものと解釈しておきます。ただ
しアスクルの小山隆弘さん(元リクルート)からつぎのようなコメントをいた
だきました。
「DOAの進化論は、ご指摘のとおりと思います。私の経験からは、技術論よ
りも組織論が気になります。
・このミッションを、どの組織が持つべきかがポイントに思われます。1、2
世代は主眼がメイキングなので従来の情報システム部でも可能でした。しかし
3、4世代は、21世紀型情報システム部なのでしょう。3,4世代の動きを
SIベンダに求めても難しいし、SIベンダとIS部門の境界でもありますね。
・「上司の支援」も重要でしょう。これがないと3世代には入れないでしょう。」
さて今月は「決めるもの、決まるもの」と題して、先ずはエンティティタイプ
について考察します。


私の住んでいる鎌倉の一角に大船駅がありますが、そこからドリームランドに
向かって赤錆びたモノレールの残骸が残っています。ドリームランドや付近の
新興住宅街をつなぐ足として設計されたものですが、強度計算の間違いから電
車を走らせることができず、そのまま放置されてしまったとのことです。かな
りのお金を投じてからあきらめるなど、情報システム以外では珍しいことです
が、これは「決まるべき鉄骨のサイズ」を誤って「決めてしまった」悲劇とい
うことができます。
一方、「ERPにしようか、手造りにしようか、またERPとしてもどれにし
ようか」など、1年以上思案していて決まらない会社もあります。これは「決
まるものでない、決めるものだ」という認識が欠けている悲劇ではないでしょ
うか。
さて本題に入ります。エンティティタイプは決まるものでしょうか、決めるも
のでしょうか。たとえば取引先、相手先、拠点、場所、顧客、仕入先、協力会
社、代理店、最終需要家、・・はエンティティタイプとしてすべて独立したも
のとして定義すべきでしょうか、それともあるエンティティタイプに従属した
サブタイプとして定義すべきでしょうか。すなわちエンティティタイプの粒度
はどう決めるのが正解なのでしょうか。
従来は、ある企業のある特定のアプリケーションを切り出し、そのカットオー
バーだけを考えて開発に取り組んでいたので、物理ファイル1個とどのレベル
で対応させるべきかは問題になっても、エンティティタイプの粒度には、あま
り悩むこともなかったかと思われます。しかし、最近のように、デマンドチェ
ーン、サプライチェーン、B2B、XML、またM&Aなど広域統合の課題が
登場してくると、対応するレベルを正しくかつ効率的に見極めるために、決め
るにしても何らかの基準が要求されてまいります。
またわれわれは、過去のデータベース構造図を横断的に整理して標準データベ
ース部品、たとえば販売計画、生産計画、生産指図、BTO(Built to Order)
などを用意し、これらを組合わせてシステム設計を進めようと考えています
が、エンティティタイプごとに属性を整理することもあって、これがかなり安
定したものでないと、効率的運用ができないため、エンティティタイプを客観
的に決める基準がほしくなります。
これに関しては、結論的なことはなかなか言えない段階ですが、一つのアナロ
ジーが参考になるかと思います。すなわちいろいろな文化圏で、どのような単
語が設定されているかとのアナロジーです。かつて本多勝一も書いていました
が、これは最近斎藤邦彦前駐米大使が日経のコラムに書いたものです。
日本語には「らくだ」という言葉しかないが、アラビア語には「1歳の雄のらく
だ」、「1歳の雌のらくだ」、「2歳の雄」、・・と違う単語がある。しかし「さか
な」という単語が1個しかない。英語には、兄、弟、姉、妹と言う単語はなく、
Brother、Sisterに形容詞をつけなければならない。翻訳のときは前後から判
断するが、これができないときは翻訳できない、とのこと。実際われわれは
「牛」と言ってあまり不便を感じないが、英語にはCow、Bull、Ox、Calf等
の単語が用意されている。
要するにしばしば使う概念には、効率的コミュニケーションを行うために、独
立した単語が用意される。したがって、われわれも、誰もが共通に認識する、
コミュニケーションの中核をなす主要なエンティティタイプと、そうでないも
のとを分け、前者には適切な標準名をつけ、属性は一応ここに配属させる。そ
して後者は、粒度として1ランク下のサブタイプとして、修飾語つきの名前を
与え、固有属性のみ、さらにここに配属するものとしたら良いのではないか。
データモデル図において、これは点線の箱で表示したい。
これによって、企業ごと、またアプリケーションごとに設定されてきたデー
タを流通させるための、標準化を進めることができるように思われます。も
ちろん、「コミュニケーションの中核をなす主要なエンティティタイプ」をど
う設定するかに判断が入りますから、依然「決まるもの」にはなりきれません
が、かなりこれに近づけることができることができるかと思われます。
恐らくこれによってエンティティタイプの数はかなり絞られます。あるユーザ
がデータ項目を思い付いて、これが既存のものか、新規のものか確認するとき、
その配属先エンティティタイプをほとんど誤りなく推定し探し出すことができ
ることが重要かと思われます。これはまた物理ファイル設定の単位ともほとん
どの場合一致するのではないかと期待されます。皆様のご意見をお待ちいたし
ます。