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【第53号】2種のアプリケーション

DRI通信53号「2種のアプリケーション」2001.2.1
21世紀も早1ヶ月が過ぎました。雪が降ったり、今年は冬らしい冬を迎えて
いますがいかがお過ごしですか。
さる1月29日(月)第2回K2W勉強会を開きましたが、OOA(Object
Oriented Approach)に詳しい方々のご協力により、「DOAとOOAの関係」
についてかなり噛み合った議論が展開され、有意義かつ楽しい勉強会とする
ことができました。次回は3月末ころ「DOA推進」をテーマに開催する予\n定です。K2W会員には制限がありません。会費は無料です。随時申し込み
を受付けていますので、ご希望の方はお申し込み下さい。
今回は、「アプリケーションソフトウエアには、非常に性質の違った2種類
がある」という、DRI通信4号以来の話題を再考したいと思います。非常
に重要なことと私は考えるのですが、誰も話題として取り上げていないよう
に見えるからです。
その2種類とは、
a.業務アプリケーション
b.システムアプリケーション
です。観点別にその違いを考察します。
ただし混乱を避けるために、当初自動倉庫ソフトやプラントのコンピュータ
コントロールソフトなどは除外し、最後にちょっと考察するものとします。


■管理対象
aは、営業、生産、経理などのいわゆる基幹系や情報系の情報処理をサポー
トする業務アプリケーションで、やや異質ですが科学技術計算やエンジニア
リングアプリケーションも含みます。その特徴は、顧客、商品、受注など、
アプリケーションレベルの管理対象がシステムの外にあって、これを把握・
観測してシステム内に取り込み、そのいわば影に対する処理を行うシミュレ
ーションシステムだということです。実体と影をリンクするために、aでは、
顧客コードや受注番号といったKEYの設定が必要とされます。またaはシ
ステムのスコープが、部門内、社内、企業群と広がるにつれ、対象とする管
理対象の数が増大するという特徴を持っています。
bは、WP、EXCEL、パワーポイント、各種ゲーム、コンパイラー、
DBMS、通信ソフト、など業務を特定しない汎用アプリケーションやミド
ルウエアなどです。その特徴は、顧客、商品、受注などのアプリケーション
レベルの管理対象は特定されず、WP文書、アイコン、データベースレコー
ドなどメタレベルの管理対象に対する処理を実行するところにあります。メ
タレベルの管理対象は原則として固定であり、aのようにその数が増大する
ことはありません。そしてこれらはシステム内に取り込まれており、シミュ
レーションによらず、KEYなしで直接これを操作することができます。
■システム開発成果物
aでは、管理対象の実体を把握するための出力画面・帳票、およびこれを制
御するための入力画面(電子化されたトランザクションを含む)がシステム
開発の成果物となります。そこには、顧客名、商品名、数量など、ユーザの
要求するアプリケーションレベルのデータ項目が表示されていなければなり
ません。
bでは、メタレベルの管理対象、たとえばWP文書、アイコン、データベー
スレコードなどに対する操作を行う機能/プログラムが成果物となります。
■要件定義
aでは、要件定義としてユーザの要求するデータ項目を表示する画面・帳票
が規定されますから、データモデリングを行って、その素材であるデータ項
目を明らかにしなければなりません。ただしその画面・帳票は部門内から企
業内全体へ、さらに企業外へと随時広がるオープンシステムの性質をもって
います。
bでは、要件定義としてユーザの入力からどのような出力を得るか、すなわ
ち処理機能/プログラムが規定されます。その機能で扱う入力および出力の
種類は、限定されますので、必然的にクローズドシステムになります。入力
および出力が拡大ないし大幅に変更するときは、原則として全面再構築にな
ります。
■管理対象の制御可能性
aは、シミュレーションシステムで、管理対象は、顧客にしても、受注にし
ても、実務の世界で勝手に生成・変化します。システムはこれを観測・写像
した、そのいわば影に対する処理を行います。そしてそのあるべき状態を実
際に実現するためには、これを指示し、人手でのアクションが実施されなけ
ればなりません。たとえば受注ステイタスが「出荷済み」となるためには、
出荷指図を担当者に実行してもらわなければなりません。すなわちシステム
からの制御は間接的となります。
bでは、管理対象は、WP文書にしても、DBレコードにしても、すでにシ
ステム内に取り込まれていますから、その実体に対して直接処理を施し制御
することができます。
■ 実装独立
aは、異なった実装環境間においてデータを流通させる必要性から、実装独
立が必要かつふさわしいものとなっています。
bはクローズドシステムで実装環境も固定的なところから、一般にシステム
は実装従属に作られます。
■ a業務アプリケーションとbシステムアプリケーションの関係
両システムは、ユーザとOS&ハードウエアの間において、大略図のような
関係にあると考えられます。
* ********************************
* ユーザ *
*********************************
*(WP等 )* a業務アプリケーション *
* **** *
* * *
* ***** *
* (ミドルウエア ) * *
* ********************
* bシステムアプリケーション *
* (DBMS) (通信ソフト) *
**********************************
* OS&ハードウエア *
* *********************************
WPの制約から、図ではうまく表現できていませんが、aはフラットな文鎮
型、bは重層的なピラミッド型になるようです。
DRI通信4号では、企業組織と対応させて、aは事業部門に、bは管理部
門に相当すると言って皆様からのご意見をいただきました。
■ オブジェクト指向アプローチの適用
aへのオブジェクト指向アプローチの適用は、bへの場合と比べ、はかばか
しい成果が出ていないと言う報告があります。一方aへのデータ中心アプロ
ーチ(ただし実装独立でかつ処理を読む)は成功事例がたくさんあります。
この最大の原因は、aはオープンシステムでスコープが拡大・変化しやすく、
ヘテロ環境間のデータの流通が要求されるためかと思われます。
いずれにしてもアプリケーションとして、aとbはその性質を大きく異にする
と言えます。これを区別しない議論は混乱を招くのみで、非常に非生産的だと
考えますがいかがでしょう。
■ 自動倉庫やコンピュータコントロールのソフト
初めに後述すると言ったものですが、これは
・ アプリケーションレベルのデータを扱う
・ 管理対象は固定的
・ 管理対象はシステム内にあり制御可能\nのように両アプリケーションの中間的性質を持っています。管理対象が固定
的なだけにオブジェクト指向アプローチも十分成功しやすいものかと思われ
ます。