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【第39号】DQ会議参加報告

DRI通信39号「DQ会議参加報告」 1999.12.1
いよいよY2Kも大詰めになりました。大分後ろ向きのお金も使いましたので、
ノストラダヌスのように、何事もなく過ぎ去る事を祈ります。
先月は「概念先行」として、実装独立の意義を述べましたが、「論理明解で
すっきりします、特に私は業務出身ですので印象的です」、「概念と物理を分
けて関係づけるとのお話は薄々思っていたことを明快にしていただいたと
言う思いです。」というご感想をいただく一方、「私の概念と椿さんの概念が
微妙に違う」とか、さらに「私が最近狙っているものとは少し違っていて、
別な世界にいる感じがします。伝統的な大工の棟梁が、家の建て方はこうある
べきだ、と鯨尺を振り回している隣で、次々と生まれてくる新しい2By4の技
術の家が組み立てられているようなもの、・・貴兄が、浦島太郎にならないこ
とを、願っています。」といったご忠告まで、いろいろありがたく承りました。
さて今月は、弊社若手コンサルタント椿高明からの第3回データ品質国際会議
参加報告をお伝えいたします。


Information and Data Quality Conference
Oct. 31- Nov.4 1999 New Orleans, LA
さる10月31日〜11月4日に、米国はニューオルリンズにて開催され
た、Information & Data Quality Conference 1999 に参加してき
ました。一昨年につづく(DRi通信15号16号)参加で、また今回は
わが国におけるInformation Quality 改善の成功事例を報告する
機会でもありました。
時期の問題(Y2K直前)、主催機関の変更(Technology Transfer
祢nstitute から American Society of Qualityへ)、プロモー
ションが後手にまわったことなどから、今年の参加は150名強とや
やコンパクトでしたが、高い職権を持つ参加者が急増しているこ
と、またデータ品質専門のポストにある人がマジョリティを占め
るなど、約2年時代を先行すると言われる米国での、テーマとし
ての定着、浸透を実感する会議でした。次回は2000年9月にカル
フォルニアにて開催予定とのことです。
また、一部の方に多大なご協力をいただいて準備いたしました、
わが国の成功事例の報告は、17あるセッションの1つとして無事
発表いたしました。3本の平行するセッションの中、聴講者多数訪
れ一部立ち見も出る盛況でした。情報の品質改善は、真面目に取
組めば劇的な効果があること、ただし5年〜10年かけた長期的な取
組みが必須であること、成功事例には共通する秘訣があること、
などが力点でした。
反響の焦点は、やはり、ポストに留まる期間がせいぜい2年程度
と言われる米国で、品質改善という地道な文化育成をどう定着さ
せてゆくか、という点でした。もとより即効処方などあろうはず
ありません。しかしながら、今回の収穫の一つは、米企業にあっ
ても、そういった問題意識を持つ実務担当者が少なからずおり、
彼らと意見交換できたこと、そして、そこに困難があるからこそ
私達は努力しているのだ、という座長Larry English氏との使命の
共有があったこと、だと考えています。
「情報/データクオリティ」というキーワードは、果たして再び
IRMの扉を開く事ができるでしょうか?『第×次再開発』といった
リニューアルが定期的に訪れていた、古き好き時代は遠い過去に
なりつつあります。一方で、DWHの乱開発がもたらす屋上屋問題、
パッケージの強引な導入によって引きちぎられるデータの問題な
ど、状況は複雑化が進んでいます。新しい時代に即した、より本
質的な姿のIRMが、いま求められている、と痛感せずにはいられま
せんでした。
(以下各セッションの詳細な見聞録です)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
◇「要求仕様の品質をどう保証するか:共同作業のための技術と
モデル」 エレン ゴテスダイナー (”Ensuring Requirments
Quality; Collaborative Techniques & Models” Ellen
Gottesdiener)
[要旨]
1日を費やした、プレ・チュートリアル。要求仕様工学
(Requirements Engineering)の技法を紹介、演習する。モデリ
ング、ビジネスルール、進行役の技術、立ち稽古(テストデータ
検証)等の意義、実践的ノウハウを教える。
[寸評]
・小柄ながら、それを感じさせない、エネルギッシュな講議
・講議/演習が巧みに盛り込まれており、実に示唆に富む。プロの仕事。
・現場で即援用できるノウハウが満載。レビュ進行役は一聴の価値あり。
・★★★★
◇「低いデータ品質がもたらす高いコスト−そして貴方にできる
こと−」 ラリー イングリッシュ (”The High Cost of Low
Quality Data -And What you can do about it-” Larry
English)
[要旨]
会議の基調講演の1つ。データ品質問題がもたらしている隠れた
コストを、豊富な資料と定量的データでフォーカスし、改善の意
義を訴える講演。「火星探査船の失敗は単位系のデータ標準化ミ
スが原因」「インタフェース維持がコストの5割を占め、これは
1/10に減らせる」など、豊富な資料で啓蒙を促す。
[寸評]
・話術、組み立て、ユーモア、等々、プレゼンテーション絶品。
・真摯、誠実さ、熱意、尊敬あり、心に火をつける講演。文句なし。
・★★★★★
◇「データ品質アセスメント−DWH成功の鍵−」 ラルフ モーア
 (”Data Quality Assessment; A Key to Data Warehouse
Success” Ralph Mohr)
[要旨]
DWH構築における、ソースデータ精査の意義を強調。60%以上のプ
ロジェクトがここで失敗すると言う。精査用の手順、書式、デー
タ品質問題の事例などを紹介。
[寸評]
・おだやかで、丁寧な解説。話しの展開も自然。
・手順、書式、問題事例いずれも入門レベル。収穫は乏しかった。
・★★
◇「情報品質改善の必須成功要因」 ノナ ミルマイスター 
(”Critical Success Factors for Information Quality
Improvement” Nonna Milmeister)
[要旨]
唯一豪州からの発表者。豪州での事例2つをケースに、プロジェ
クトの成功要因、失敗要因などを紹介。ビジネス課題とデータ品
質問題とのリンケージの重要性を強調。
[寸評]
・おセやかで、丁寧な解説。豪州訛り。
・ケーススタディの実態と、プレゼンの結論との間に、解離を感じた。
・★★
◇「データウェアハウス構築の7つの致命的過ち」 ダグラス 
ハックニー (”The 7 Deadly Sins of Data Warehousing”
Douglas Hackney)
[要旨]
DWH構築者の、視野狭窄、眺望不全、近視眼、無知、欲張りすぎ、
怠惰、高慢による弊害を指摘しつつ、事業上の痛みに集中する意
義、徐々に育つDWHのアーキテクチャの示唆、ユーザ満足に徹底し
て集中すべきこと、などを解説。
[寸評]
・勢いのある、巧みで、夢中で聴いてしまうプレゼンテーション。
・やや強引に7つ整理した印象あり。後から見直して疑問残る点多い。
・★★★
◇「『カイゼン』の適用による、事業およびITコストの削減」 
マサアキ イマイ (”KAIZEN(R) and its Implication to the
Reduction of Business and I.T. Costs” Masaaki Imai)
[要旨]
会議の基調講演の1つ。わが国製造業の躍進をさせた品質管理の
手法の基本理念を「改善」「無駄」「現場」などのキーワードを
通して紹介。
[寸評]
・今井氏は改善技法の欧米企業への移転コンサル。製造業が中心でITへは初参入。
・★★★
◇「DWHのためのルールベース・データクレンジング」 デビッド
 ウェルズ (”Rule Based Data Clensing for Data
Warehousing” David L. Wells)
[要旨]
場当たり的なデータクレンジングの弊害を指摘し、データモデル
に基づく安定的なクレンジング方式の確立を解説。データモデル
から機械的に翻訳できる7つのルール(識別、参照、カーディナリ
ティ、継承、等)を具体的に説明。
[寸評]
・クレンジングの技法としては、採集的というより科学的網羅的で、完成度高い。
・但し、リソース/イベントのデータの分類が弱く、やや実践性に遠い印象あり。
・★★★
◇「環境情報DWH」 パット ガーベイ (”Environmental Datav
Warehouse” Pat Garvey)
[要旨]
米国の環境情報(envirofacts)はウェブサイト上で公開されてい
る(http://www.epa.gov/enviro)。多彩なソースの情報を収集し
一元的に公開しているDWHの構築ストーリ。コンテンツの品質向上
は、ユーザ利用を促進し「違ってるよ」というフィードバックを
増やすことに尽きる、と。
[寸評]
・明快で、ユーモアあふれるトーク。
・★★★
◇「長期的品質改善のための戦略と戦術」 椿 高明 
(”Strategy and Tactics for Long-Term Information Quality
Management” Takaaki Tsubaki)
[要旨]
5年から10年かけて情報品質の問題を完全に解決した日本企業の
ケーススタディ。全面解決による劇的な改善効果を数値的に提示
するとともに、IRM技法に基づく全面刷新の成功要因を紹介。主要
課題への折り込み戦略、ソフトスキルの重要性、そして労力不要
の標準化推進のコツなどを、具体的に解説。
[寸評]
・内容的には、際立ってユニーク、現実的、そして示唆的な時間にできたと思う。
・但し、時間配分、そして話術的な点で、課題が残ったと反省。
・プラスマイナス☆☆☆(自己評価)