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【第37号】DOA成功のシナリオ

DRI通信37号 「DOA成功のシナリオ」 1999.10.1
いつまでも熱帯夜の続く暑い9月でした。DOA、ビジネスモデル、データインフ
ラ整備などますます重要になるはずですが、不況、Y2K、ERPへの対応が悪か
ったためでしょうか、厳しい上半期でした。不可解な円高が始まっていますが、み
なさま如何ですか。
先月は、文化の異なる大規模システム間のデータ流通を考えるために、インター統
合の考え方を提案いたいしました。数人の方からコメントをいただきましたが、最
近「勝者のデータベース経営戦略」(NTT出版)を著わされたNTTコムウエア
の丸山さんからのコメントの一部を箇条書きで紹介いたします。
・ インター統合は今後のデータモデリングのビジネス展開にとって重要。そこに完
成は有り得ずビジネス変化に追随する柔軟なモデル論が必要。
・ イントラ統合は統制指向。インター統合には自律が重要。
・ コミュニケーションのため、なんらかの標準化は必要だが、初めは片言英語でよ
しとする。
・ 変化を受け入れられるモデルにXMLが解決の鍵を握っているのでは。
さて今月は、われわれの携わった400件のDOAプロジェクトを振り返って、最
後にその成功のシナリオを纏めてみたい。


400件は、1985年創立以来、丸14年の実績ですが、椿個人としては、日本
システミックス時代の協和発酵プロジェクト以来20年近くになります。協和発酵
プロジェクトは代表的成功事例ですが、単に当該プロジェクトが無事カットオーバ
ーできたからというわけではありません。十分な数のDOA人間が育ち、DOA文
化が定着したから「成功した」と考えるのです。
DOA文化が定着すると、実装独立の概念DB構造図をベースに、システムが暗黙
知から、形式知に変わり、関係者全員がシステムについて共通のイメージを持つこ
とができ、データ流通問題が自然に解決してまいります。目標が共有され、コミュ
ニケーションギャップがなくなるため、品質上の欠陥が減り、納期やコストに大幅
な狂いが出なくなります。メンテナンスの見積もかなり精度良くできるようになり
ます。
2年ほど前に携わった山陽特殊鋼プロジェクトは、かなり大規模でその割に短期に
取り組まなければならなかった難しいプロジェクトでしたが、「概念DB構造図で
のコミュニケーションが定着した」と伺って、第一次分カットオーバーと伺った後
も残っていた懸念が一掃され安心いたしました。
大手メーカーのDOAプロジェクト、途中で挫折し従来型POAに切り替えて、な
んとかカットオーバーした、とか幾度となく耳にします。いくらカットオーバでき
ても、これでは失敗以外のなにものでもないでしょうか。
いったい失敗はどのような場合に発生するのでしょうか。まずDOAのスキルがな
くて取り組んだと言うケースがあるようです。CASEツールを買い、著名な著者
の本を読んで見よう見まねでやってみるわけです。未経験者が道具を買い地図をた
よりにアルプス登山に挑戦するようなものです。
DOAにおける作業の大要点は、データの標準化ですが、営業、生産、経理など異
なった分野でそれぞれに使われてきた現行のデータは矛盾に満ち、しかもこれにこ
だわるつわものが大勢います。概念と物理を混同しているとユーザニーズと効率評
価が絡まって一層難しくなります。これらをテキパキと調整するにはかなりの経験
を要しますが、その戦い方は本には書いてありません。アルプスで悪天候に遇った
素人登山者のような結果になり勝ちと言えるでしょう。
このような失敗はDRIプロジェクトでは起こり得ませんが、それでも失敗の原因
は次のようにまだいろいろあります。
(1) マネジメントがコミットしていない
(2) リーダーのリーダシップが弱い
(3) リーダーが固定しない
(4) 手配師指向で技術を自分のものにしようとしない
(5) 参画メンバーが少ない
(6) 参画メンバーへのDOA教育が十分できず、ベクトルが合わない
(7) 適切な判断・決断のできるユーザが参画しない
(8) 仕掛けが不足し、しつけに頼る
(1)DOAは、全社とは言わないまでもかなりの広範囲でのデータの共用を指し
ます。このときマネジメントのコミットが欠けると、小さな範囲の中途半端な標準
化になり、たとえCASEツールを使っても従来型の孤島システムを速く作っただ
けになり勝ちです。担当者の技術的興味でスタートする場合もこの一例で、文化変
革は容易でなく、その意味で成功率はかなり低いと言えます。自分で判断しないリ
スクヘッジ型のマネジメントは、メーカー等大手SIに発注する傾向にありますが
、たとえ自ら取り組むことがあっても途中で不安になり、大手SIに切り替え不成
功に終わることがありました。
(2)DOAは従来とかなり異なった技術であるため、従来技術の陳腐化をもたら
す面があります。このため人間的抵抗を発生させますので、強いリーダーシップが
必要になります。高度の技術的能力もリーダーシップには不可欠です。平均的には
かなりの人材をそろえながら、リーダーに人材を欠きDOA文化がいまひとつ定着
しない会社があります。
(3)官僚的組織においては、ローテーションが常態化しているため、優れたリー
ダーがいても、程なく異動になってしまう。DOA文化を育てるにはそれなりの期
間が必要ですが、その期間が取れないケースです。
(4)官僚的組織やゼネコン的企業では、良い技術だと分かっても、「自分でやる
と偉くなれない」とか「すぐには利益率が上がらない」とかで、技術伝達の受け皿
ができないケースがあります。やはりこれをものにしようというリーダや担当者が
いないところでのDOAは難しいようです。
(5)プロジェクトに参画する人の数は、8人くらいの精鋭が理想です。あまり多
くても、レビュー会議が散漫になりますし、あまり少ないと文化を変革する勢いが
作れません。ちょうど何本かの薪を寄せて火を燃やすように、DOAの火を守り育
てる配慮が必要です。
(6)これはDRIプロジェクトというより、大手SIプロジェクトにDRIが参
加した場合に発生し勝ちです。DOAでやろうと言う人もいますが、教育が徹底し
ていないため従来型をベースにプロジェクト管理を考える人もいて混乱するわけで
す。
(7)データの標準化、データインフラ構築は、中途半端に何回もやるより、一度
だけ徹底的にやるのが正解と考えられますが、なかなかできません。その大きな原
因は時間が掛かるためです。その一つの大きな原因は、適切なユーザの参画が得ら
れないことです。あるデータが、どのような目的でどう使われているか、他のある
データと同じと考えて良いのか、これこれの変更をしても構わないのかなど、迅速
に回答できる人が参画しているかいなかは、プロジェクトのスピードに大きな影響
を与えます。
(8)はじめは、担当者の志、モラールが前提ですが、大勢の人に長期間これを強
制することは難しくなります。しつけより仕掛けやれるように体制を作らなければ
なりません。DOAでやる方が良いものが楽にできる環境をつくることです。その
ための不可欠の課題に、リソースデータの共用体制があります。リソースのデータ
定義とコンテンツを公開し、手軽に共用できるようにします。当初データ管理者の
人知れぬ努力が必要かと思われます。
以上のような知見から、できるだけ少ない予算でDOAパラダイムへ変換する事を
狙う場合、次ぎのようなDOA成功のシナリオを導くことができます。
・ データ共用の方針に関するコンセンサスを取り、リーダー・データ管理者を任命
する
・ データ先行・概念先行の方法論の標準化を先行させる
・ 基幹リソースのデータ定義およびコンテンツの共用体制を3−6ヶ月を目処に作る
・ 基幹業務システムの分析を行い、再構築を行わない場合も、先ず現行物理ファイ
ルとの紐付けを行う
・ リソースデータ、紐付けデータを活用してDWHを構築する
・ 陳腐化した基幹業務から再構築を行う
DRIとしては、多くの企業ができるだけ確実にDOAパラダイム変換に成功する
ことを企業の目的としてまいりました。これは今後も変わりません。かつては1年
かけても良いとして取り組まれましたが、最近は6ヶ月掛けるのも厳しいといわれ
るからです。そこで1プロジェクト3ヶ月は最低必要のようです。課題は3ヶ月+
アルファのアルファを如何に短縮できるかです。われわれもいかにすれば人間の改
造とデータインフラの準備が効果的にできるかを日夜研究しております。今後とも
ご支援のほどよろしくお願いします。
追伸:
先にご連絡したアプリケーションセミナーは、今月は10月26日(火)、DRI
セミナールームにて「CRMのためのデータ中心アプローチ」として行います(詳
細は追ってお知らせいたします)。奮ってご参加ください。過去400件のコンサ
ル事例の整理をベースにしたものですが、内容はほぼ次のとおりです。
1. CRMのこころ
2. CRMのデータ構造とその特徴
顧客−識別とその属性
マーケティング
市場と販売組織
インセンティブ
リスク管理
3.CRMの動向とシステム化戦略