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【第27号】DOAから見たERPの導入

DRI通信27号 「DOAから見たERPの導入」  1998.12.1
異常気象、大不況の1998年もあっと言う間に過ぎて後一月を残すだけにな
りました。風邪にはうがいと(ちょっと塩を入れたお湯による)鼻洗いが有効
です。健康管理をしっかりやって、元気にお正月を迎えましょう。
さて今月は、11月13、14日に富士教育研修所で行われた
PLAN-DBシンポジュウムの私見を交えた報告をします。話題がタイム
リーだったこと、講演者の話しの内容が適切だったことなどにより
大変盛り上がり効率的にERPの勉強ができたと思います。紙面の都合
からかなり印象に残ったところだけになりますが、ご容赦くださ
い。


■開催要領
・「DOAからみたERPの導入について」の発表5件、各1時間30分
(1)「ERPパッケージ導入による業務改革と情報システム改革」-Baan
  住友3M 中村隆夫氏
(2)「ERP導入検討におけるギャップ分析方法の考察」-R/3
  武田薬品 中村尚志氏
(3)「Supply Chain Management-NECにおけるSCMの考え方」
  NEC 伊藤末枝氏
(4)「Oracle Applications と適用事例」-Oracle APS
  日本オラクル 中目静一氏
(5)「PeopleSoftとデータ中心設計」-PeopleSoft
  帝人システムテクノロジー 寺島洋一郎氏
注:(1)、(2)は10年以上のDOA推進責任者による自社へのERP導入事例、
(4)、(5)はPLAN-DBエキスパートによるERP導入コンサルティング、(3)は
SCM研究者の解説です
・懇親会 19時から1時ころまで、DOA人間の同窓会といったうちとけた
     雰囲気に新しい人たちも溶け込んで活発な議論の花が咲きました
・参加者 PLAN-DBユーザ等43名+DRI社員
■目的
公式的には
a.導入における成功要因や留意事項を学ぶ
b.パッケージの効果的位置付けや今後の方向を学ぶ
など。
しかし私としては次のような課題を解決したいと考えて参加しました。
c.ベストプラクティスが用意されているというがたとえばどんなものがあるのか
d.データモデリングは業務理解に非常に有効であるから、必ず活用の場がある
はづである。手造りではないので簡略化は可能であろうが、どこでどの程度活
用するのがよいか
e.導入後、そのシステムを「見えるシステム」とするためのDB構造図は必要な
はづだがどのようにして整備しているか
f.コード設計はいつどのように行っているか
g.加工データやサブタイプはどのように扱っているか
h.ソフトとしてモノリシックな大規模なものを作りすぎていないか
i.これを引き継ぎ、経営課題を受け止める次の世代の人がうまく育つ仕掛けは
用意されているのか
■話されたこと
a.として一番印象に残ったことは、(1)、(2)いずれにおいても体制、企画が万
全であったことでした。10年以上のDOAのなかで現状のデータ仕様ははっ
きり把握されている。データモデリングのできる人は5人以上で、これらの
DOA人間が中心となってERPに取り組んでおられる。また大部分の人はこれ
を読みコミュニケーションすることができる。データモデルリテラシーがERP
成功の大きな条件になっていることを感じました。
b.としては、(2)においてERPの位置付けを非常に明快に割り切って決めてお
られることが印象的でした。また(3)において、管理会計やSCMを意思決定系、
またECやSFAを実施系として、ERPから分離させているのが興味深く感じら
れました。ERPを足腰すなわち下半身とすれば、これから上半身と手足を分
離するようなアーキテクチャを提案しておられるように思われたからです。
c.としては、質問時間が十分なかったせいかもしれませんが、統合化すれば自
然に得られるもの以外に印象に残るベストプラクティスはなかったように感じ
ました。今後も継続して調べたい課題です。
d.については、(4)、(5)が貴重な試行をしてくれていました。中目、寺島両氏と
もPLAN-DBのエキスパートですが、ERPのER図をよりわかりやすいTHモデ
ルに変換し、また顧客の現状をTH図で表現してコミュニケーションに活用し
ておられました。「どこでどの程度」に関してはケースバイケースとなるよう
ですが、事前にERPの構造をTH図に変換しておくことはERPのSIとして非常
に有効な差異化になることが確認できました。また(2)ではギャップ分析を機
能のほかにデータからも行っておられその有効性を感ずることができました。
e.については、(1)において設計後Baanの物理レコードをリバースしてERwin
によりDB図を書いておられるとのこと、一つの解を得ることができました。
自動車は図面なくして運転できますが、プラントやビルではメンテのためにAs
Built Drawing が必須です。プラントやビルより、さらにメンテの多いソフト
に図面なくして済ませられるわけがないと考えます。手抜きは必ずどこかで裁
かれるのではないでしょうか。
f.については帰りのバスになかで(1)の中村さんから回答を貰いました。サブタ
イプを区分するコード設計は非常に大切でいままさに検討しているところだと
のことでした。
g.については十分聞くことができませんでしたが、加工ロジックは既存のもの
を使うようでした。サブタイプが不足するときは、なるべくこれがでないよう
業務を変えることで解決をはかることがあるようでした。
h.についても十分聞けなかったのですが、SAPではOO技術により解決を試み
ているようです。しかしリポジトリがソフトウエアレベルのもののみで概念
レベルのものを持たない以上、限界があると思われました。
i.への回答はまだ無理のようです。今後の課題としましょう。
■感じたこと/考えたこと
講演のなかで、またその後で感じたことまた考えたことは次のようなものでした。
・THモデルの表記法はデータの意味を表現する点でやはり断然(たぶん世界一)
分かりやすいもの
・ERPは一般に企業情報システムの一部しかカバーしない。「ERPをいれれば
DOAもIRMもいらなくなる」といったことにはならない
・ERPにも性格的に「ERP+メンテツール」〜「テンプレート+CASEツール」
と幅があり、そのなかで一番ERPらしいのがR/3、ORACLEやPeopleSoftはか
なりテンプレート的でカスタマイズを受け入れる。
・カスタマイズを抑えて継続的メンテに備える戦略もあるが、逆にERPのメン
テは行わないことにして必要なカスタマイズをどんどん行い、たとえば10年
後に再度新たな導入を考えるという戦略もありそう
・現行のERPはリポジトリベースといっても、業務知識とITが渾然としていて、
全体を把握することが難しく、メンテなどの効率は悪い。ベンダーはシェアを
とり人海戦術で対応しているが破綻は来ないか心配がある
■最後に
データモデルリテラシーはERPの場合も有効でほとんど必須と感じました。
やはり最後は人が決め手。とくに経営課題を情報システムとして的確に受け止
める人を如何に用意するかが今後の課題かと思われます。その意味では、若干
宣伝になりますが、今回オープン化したPLAN-DB教育コースを大いにお役に
立てていただけるのではと期待します。またリバースしたDB構造を書くため
のTHモデラーもお役に立てて頂きたいと思いました。