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【第24号】21世紀の情報システム

DRI通信24号 「21世紀の情報システム」   1998.9.1 
変な夏でした。太平洋高気圧発育不全のまま大雨が降り、秋が来てしまいまし
た。南アルプスは上河内岳(2803m)に登ってまだやれる自信を持てたこ
と、横浜高校松坂の快投、うれしかったのはこの二つでした。皆様の夏はいか
がだったのでしょう。
先月はわれわれのDOAの前提をまとめ、OOAとの議論のきっかけを作ろう
としましたがOOAに詳しい方々からの反応は残念ながらゼロでした。San
Francisco やCBOPの結果を待つほかないのかもしれません。
さて今月は「21世紀の情報システム」として私の真夏の夜の夢を語って見た
いと思います。眉につばをつけて読んで見てください。
システムの規模とはデータの整合性の保証される範囲と考えます。ERPやサプ
ライチェーンを持ち出すまでもなく、データの広域流通を求めてシステムの規
模は拡大の一途をたどります。迅速にCSに対応するためとしてユーザ要求に
変更が頻発します。


高度のITが採用され、これを使いこなす高価な専門家が登用されます。いろい
ろなベンダーごとのハードウエア、OS、DBMS、CASEツール、ネットワーク
に精通する専門家などいる訳がありません。何人もの専門家がチームを組んで
対処することになります。それでもバージョンが変わればうまく動いていたも
のが突然動かなくなります。一つのアプリケーションだけではありません。関
連する全システムがストップする危険性があります。
一方ユーザにはブラウザーなどにより、いろいろな業務を同じLook&Feelで扱
えるインターフェースが与えられます。インターネット技術によりユーザはサ
ーバーの所在を意識しません。このときソフトウエア、ハードウエア、ネット
ワークからなるコンピューティングパワーはユーティリティと化してしまいま
す。われわれが発電所がどこにあるかを意識しないでエレクトリックパワーを
利用するように、コンピューティングパワーを利用するようになるのです。
そのとき一般企業は、自分のところに高価なIT専門家チームを抱えてコンピュ
ーティングパワーを運用したいと考えるでしょうか。コアコンピタンスを求め
てまずは運用保守のアウトソーシングが当り前になるのではないでしょうか。
「アウトソースならすでにやっている」と言われる方もあるでしょう。しかし
それは大部分本来あるべきアウトソースとは違っていたのではないでしょうか。
現行のアウトソースは
・「今動いているシステムまるごと」と言った曖昧なシステム仕様で委託する
・変更要求もどことどこに手を入れるかがすぐわからない
・ハードウエア費用のコストダウンがねらい
・リストラねらいで、ただ別会社にしただけ
・社長が良く分からない情報問題を自分の決済範囲から外すため
などのような単なる「手抜きレベルのもの」が多いように見えます。ポイント
は「アウトソースの内容の記述」です。
本来あるべきアウトソースは、その内容が客観的に記述されたものでなくては
なりません。そこにはユーザインターフェースを除いて、どんなツール
−−ネットワーク、ハードウエア、ソフトウエアによる実装手段−−を使うか
が含まれる必要はありません。ビジネスのやりかた、「どんな体制、どんな条
件で、誰に、何を作り、何を売るか」といったその企業のビジネスモデルが疑
義なく明示されていれば良いはずです。これがアウトソース契約書に添付され
ます。変更要求は、この添付資料の変更の形をとるはずです。
ユーザ企業はこのビジネスモデル記述書によって、自らのビジネスモデルを
把握しコントロールすることになります。「ビジネスモデルは組立図と部品表\nで表現すべきだ」というのがわれわれの主張です。建築やプラントと同様、自
然言語では曖昧で記述しきれない、しかも全体が見通せないからです。
組立図はものとものとの関連を表現するものです。われわれは次の4種を必要
かつ十分なものとしています。
・情報処理フローチャート(製品と製品の関連図)
・画面・帳票イラスト(製品と部品の関連図)
・概念DB構造図(部品と部品の関連図)
・SPFチャート(部品と中間部品の関連図)
ここで製品とは画面・帳票を、部品とはデータ項目をいうものとします。
部品表とは、これら組立図に示されたもの−−画面・帳票やデータ項目−−に
ついてのテーブル状の詳細仕様書を言います。
組立図と部品表は人間にとってビジネスモデルを最も分かりやすく表現するも
のですが、これを忠実に電子化したものがビジネスモデルリポジトリというこ
とになります。この表現形式を標準化すると、そのコンテンツを流通させるこ
とができます。コンテンツはプログラムではなくデータですから、若干の違い
は簡単な修正で対応できます。たとえ全く同じビジネスモデルでも表現形式が
違えば流通できませんし、プログラム形式ですと若干の違いでも修正は難しく
なります。ビジネスモデルを標準形式でしかもデータとして蓄えるのがポイン
トです。
ユーザ企業は次にこのビジネスモデルを用いて運用だけでなく開発のアウトソ\nーシングを行うようになるでしょう。複数のアウトソーサーを競争させて、安
く、信頼性の高いサービスを選ぶことができます。アウトソーサーはCASEツ
ールを使って開発しても、あるいはERPを使って開発してもよいでしょう。要
は安く、信頼性高くそのビジネスモデルが実装できればよいのです。エレクト
リックパワーが水力か火力か原子力かを問わないのと同じです。
アウトソーサーは多くのIT専門家を用意しなければなりませんが、同時に実装
環境をできるだけ単純化しかつリポジトリを活用してコストダウンと高信頼性
を実現しなければなりません。ここでのリポジトリはソフトウエアやプラット
フォームを管理するリポジトリになります。リポジトリこそが21世紀のアウ
トソーサーの競争力の根幹になるでしょう。アウトソーサーは計算センター+
プロバイダー+SIベンダーの機能を持ちますので大規模企業か、よほど特徴を
持った企業にしぼられてくると思われます。
電力会社は関東、関西など地域対応ですが、コンピューティングパワーカンパ
ニーは地域に関係ありませんから、全世界乗り入れになり得ます。この方向が
歴史の必然ならば、やはりアメリカが先行すると思われます。これが定説にな
ってからしか追いかけない、いつもの日本のパターンですと、ビジネスモデル
やこれを扱う人といったインフラ造りに時間がかかるため、また5年、10年
の差をつけられることになります。為替レートが200円/ドルとなっても間
に合わない心配があります。
私はビジネスを支える3要素は
(1)ツール(ソフト、ハード)
(2)ビジネスモデル(ビジネスのやりかた)
(3)人
ではないかと考えています。(2)と(3)がインフラを作りますが、これらが連携
するために教育や訓練が必要になります。(1)はITの進歩とともにどんどん変わ
ります。多くの企業において(1)と(2)が不可分に結合しているのが今のメンテ
地獄を作る大きな要因になっています。(2)を忘れ(1)と(3)だけでシステムを作
ろうとしているのが、多くのERP導入のトラブルの原因ではないでしょうか。