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【第3号】部品化

DRI通信 3号
今年も忘年会シーズンになってしまいました。皆様お元気でしょうか。
2号では、戸田さんたちの主張される3相(Phase) 独立モデルを引用いた
しましたが、クライアント/サーバーの3層(Tier) モデルと誤解された方
もあったようでした。「面白い見方」と評価していただいたかたもありま
したが、「長すぎる」との注意もいただきました。今回は「短く」を念頭
に書きましたが、いかがでしょうか。
「部品化」
■部品化はDOAで
2号において、情報システムの製品、部品は、
  製品:画面・帳票(=情報)
  部品:データ項目
のように考えられ、DOA(データ中心アプローチ)とはまず製品を固め
、次にこれを構成する部品を洗い出す方式であると述べた。新車の仕様を
固めてから、部品の調達にかかるのと同じ方式である。
データ項目は比較的標準化しやすいので、この組み合わせによって速く、
安く、信頼性の高い製品を作ることができる。またデータ項目の共用によ
って、データの流通が実現される。すなわち情報資源管理(IRM:
Information Resouce Management) の実現である。


これに対比すると、機能一式を固め、機能分割を進めるPOA(プロセス
中心アプローチ)は、プログラムを部品と考えるから、「自動車工場の設
備一式をまず決め、これを構成すべき工作機械や金型に展開し、これに合
わせて自動車を作ろう」とする方式であるといえる。
汎用性の高い工作機械は、DBMSなど汎用性の高いプログラムに相当す
るであろうが、金型などは、クライアントのニーズに対応して作られる個
別アプリケーションに相当するものと考えられる。製品はユーザニーズか
ら決まり、変化も激しいので、工作機械はまだしも、金型の標準化による
対応は難しい。
この金型は以前のものをコピーし少し変形して作ったりするため、似たも
のがごろごろ増えてきて、変更の際、変更を漏れなく施すのが非常に難し
くなる。こうしてオーダーメイドの生産方式となるPOAでは、メンテナ
ンス地獄を生じやすい。これを避けるためにフラグを内蔵させ、これを設
定することによって部品の働きを多様化する方法もあるが、おのずと限界
がある。基本的に「POAはハードウエアを動かすためのプラットフォー
ム形成のアプローチであって、業務アプリケーションの部品化となじまな
い」といえよう。
DOAでは、部品から金型を自動生成する仕掛けを用意し、部品のみ管理
して、金型の管理を不要にしようと考える。「DOAがこれからの方向」
が受け入れられてきた背景には、DBの大衆化、EUCなどとともに、こ
のような部品化による合理化への指向があると思われる。
■部品化の条件
部品化に当たって重要なことは、
  個人差の出ない部品化をめざす
  できるだけ独立性の高い部品を切り出す
  独立でないときは、その制約を管理する
などである。
個人差が出ないためにはモデルを用意しこれにしたがって部品展開する。
データモデルはこのためのものである。科学的かつ人間工学的に洗練され
たものでないと、矛盾が生まれたり、使いにくかったりする。
独立性は部品化の目的と言ってもよい重要な条件である。相互の絡みを最
小にする部品化が優れた部品化である。これを提供するのが優れたモデル
ということになる。
部品である以上、他と接点をもち、これが制約を生む。これが単純かつ最
小であるとよい。DOAではプログラムはデータ/データベースとだけ接
点を持ち、他のプログラムとは接点を持つべきでない、とされる。工作機
械や金型は、部品や製品とだけ関与し、工作機械や金型同士は接点を持た
ないようにするのと同じである。
したがって、制約は情報システムの場合、データ項目同士の間で規定され
る。3大制約は次の3つである。
  識別子データ項目と従属データ項目の関係(品番と品名など)
  識別子データ項目と参照データ項目の関係(品番と受注品番など)
  加工データ項目と加工元データ項目の関係(金額と数量、単価など)
データモデル論を展開すると難しくなるので省略するが、これらの制約を
正確に把握・明記し、たとえば加工元データが変わったときはこれに準じ
て加工データを変え、整合性を保持する(単価や数量の変動に応じて金額
を変動させる)。このようにデータ項目を洗い出し、このような制約関係
をすべて整理するのがデータモデリングということになる。業務の個性を
第三者に見えにくいプログラム内の記述から、このようにメンテナンスの
容易なデータにすべて移すのがDOAの「みそ」といえる。
製造業の場合にも、部品間に種々の制約があるが、ソケットや、ネジ、フ
ランジなどの接点における制約が最も典型的であろう。雄側と雌側は 、仕
様変更のある場合はかならず連動して行わなければならない。
■共用のための仕掛けとしつけ
高品質の部品化ができても共用されなくては意味がない。すべての関係者
がこれを認知し活用する仕掛けとしつけを用意しなければならない。
まずは最も基礎的な部品であるデータ項目の検索の仕掛けが重要である。
検索の仕掛けというと、短絡的にコンピュータによる仕掛けを考えがちで
あるが、これは補助的なものと考えたほうがよい。データ項目に個人差の
出ない命名をすることがきわめて難しく、しかも数が多いからである。実
際プラットフォーム構築用の部品と違って、業務アプリケーションの部品
の数は1万を超えると覚悟しなければならない。
最も実際的な方法は、データ項目をエンティティごとに配属し、このエン
ティティをデータベース構造図に一定のルールでレイアウトして検索する
のである。国ー県ー市のような階層にしたがってデータ項目を図上で検
索する。これによってデータ項目の位置付けが分かり正確な意味が把握さ
れる。
しつけとして大切なことは、極力標準部品を活用することである。そのた
めに、製品である画面・帳票を作るときは、まず既存の標準部品から作れ
ないかと考える。標準を育てる文化を作って行くことを課題とすべきであ
ろう。