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【第1号】DOAコンサルテーション11年のあゆみ

DRI通信 1号                 1996.10.15
皆様こんにちは。情報技術(IT)の嵐のなかで多忙な日々をお過ごしのことかと拝察いたします。PLAN−DBをベースに、データ中心技術の普及に努めてまいりましたデータ総研も、はや11年目を迎えることになりました。皆様からのご支援のたまものと厚く感謝申し上げる次第です。
11年間、ユーザ会も作らず、ニュースレターも発行せず、心苦しく思っていたわけですが、インターネットが実用化されてきたことでもあり、ささやかなメール(月次)を発行し、タイムリーな情報を発信してゆければと思います。
「DOAコンサルテーション11年のあゆみ」
■第1段階 基礎教育による普及
創業当初は、データ分析のマニュアルを作り、これを説明すれば理解され定着できるものと安易に考えていた。そこでライセンスフィーをいただいてマニュアルを納入し、基礎教育コースを実施したが、これで技術移転ができ、データ中心システムの構築できる会社はきわめて例外的であることが分かった。


■第2段階 個別アプリケーションのOJT
そこでOJTを実施することにした。お客様の抱えている現実の問題を、PLAN−DB手法により解きながら、データ中心コンセプトを理解していただくのである。問題は現行の画面・帳票サンプルによって規定する。成果物は、開発に直結できるので、教育兼開発となり効率がよい。技術移転の成功率は非常に上がった。とくにセンスの良いリーダーに恵まれたプロジェクトは必ず成功した。そのリーダーは以後その会社の情報システムを支えるキーパーソンとして活躍しておられる。
しかしプロジェクトの対象範囲は、一般に販売、生産管理、経理、人事などの個別システムであり、後行程については踏み込む余裕もなく、原則としてお客様任せとなっていた。データベース構造図上で処理を読み込むため、品質は高く、「ほとんど手戻りが出ない」と喜んでいただけたが、ねらっている情報資源管理(IRM)の効果をアッピールするには距離があり、当面の個別データベース設計という観点からは「もっと時間短縮できないか」とクレームをいただくことも
あった。
情報産業は、ソフトを扱っているがやはり一種の製造業であると考えられる。代表的な製造業である自動車産業を、後進国で起こそうとしてまず困るのは、部品産業がないことである。近代工業は標準部品ありきの上に成り立っている。情報産業にはまだ標準部品−−その実体は共用データさらには共用データを核にしたオブジェクトと考えられる−−がない。まだオーダーメイドでシステムを作るのがあたりまえの世界である。そこにRAD(Rapid Application Development )が要求される。自動車産業を後進国で起こそうとするときと同じような問題を抱えている。
情報産業もいつまでも標準部品をもたない異常な状態を続けるわけにはいかないはずである。実際、標準部品のデータインフラを構築し、高い生産性の好循環を確立した会社も少しづつではあるが、増えつつある。要はいつ、どのようにしてデータインフラありきの新しいパラダイムに切り替えるか、かと思われる。
■第3段階 データインフラ構築プロジェクト
情報資源管理とは、情報システムは部品から構成されており、しかもこの大部分は標準化でき、この組み合わせにより、速く安く役にたつシステムを作ろうとするものである。個別アプリケーションのデータ分析であっても、実装独立で高品質であれば、これを積み上げることによってデータインフラができる。実際そのような事例もあるが、当初より「データインフラは念頭にない」というときは、後で軌道修正と言っても難しい。やはりデータインフラ構築は、戦略課題として取り組むべきもののようだ。
自動車の場合、1車種の開発のなかに、どの程度の部品標準化を取り込むだろうか。全体的な部品標準化と商品開発とは別プロジェクトとして遂行するのではないか。こうしてわれわれもデータ標準化/データインフラ構築をねらうなら、これとアプリケーション開発を分けるのが、自然で無理のない進め方であることを悟った。標準データありきならば、もはや開発のなかでの大規模なデータ分析はなくなり、整合性が保証されているのできわめて小さな単位での開発カットオーバーが可能になる。こうして無理なくRADができる。もはや全取っ替えの大型再構築プロジェクトは不要であり、保守と開発の区別もなくなる。
したがって鍵はデータインフラ構築プロジェクトをどう企画し遂行するかである。まず誰がスポンサーになるかが問題になる。従来のように個別ユーザ部門というわけにはいかない。即効のメリットはない。投資は全社で長期的に回収してゆく性質のものである。実際これまでの事例を見ても、全社的視点に立ったマネジメントのあったところが成功している。
また企画に成功しても、技術的に失敗する危険性がある。データインフラとなるとどうしても規模が大きくなる。扱うデータ項目の数が3千とか1万とかになる。技法に工夫がないと、相互のからみは要素の2乗に比例する傾向をもつので、収束が難しくなる。われわれの救援の経験では、これはCASEツールでは解決できない。この「2乗」の問題を解決できるのは、鍛え抜かれた方法論とこれを駆使できる人だけである。
このような体制のとれる会社は限られている。そこで日本において、標準データありきへのパラダイム変換を実現するには、そのための専門会社が必要なのではないかと考えるに至った。方法論は完成に近い。これを支えるツールの仕様もほぼ固まった。どのような人を何人用意し、どう営業を展開すべきかが、目下の課題と考えている。 
  
■第4段階 データ中心オブジェクトライブラリの整備
ERPと呼ばれる統合アプリケーションパッケージが流行している。リポジトリベースのデータ流通の保証された全社システムと言う触れ込みである。方向としては結構であり、短期的な解決になる場合もあると思われるが、第一世代だけにまだいろいろ問題を抱えているようである。
一番気になることは、担当者がデータベース構造図などにより、システム全体を明快に見通せないとのことである。データ構造はビジネスルールの表現である。これをブラックボックスのようなプログラムに預けてしまって、経営そのものが空洞化してこないのだろうか。これをあずかる担当者のなかから、経営戦略をシステムに反映する人が、はたして育ってくるのだろうか。カスタマイズをするとメンテナンスが難しくなるということであるが、それは技術的に未完成だからではないか。2、3年たって、成功する会社と、失敗する会社がどんな割合で発生してくるかが気になるところである。
われわれはこの問題は、実装独立の完成度の高いリポジトリ−−フレキシブルな設計部品のデータベース/受け皿−−をベースにした、オブジェクトライブラリによってはじめて実現できてくるものと考える。リポジトリはかつてIBMが、AD/CYCLEで手がけ大失敗をした。いまだに成功した話を聞かない。第4段階を支える基礎技術はまだ完成していないのだと思う。われわれは、鋭意開発中のリポジトリを中心にした一段高い基礎技術の上に、オブジェクトライブラリを整備し、ERPの構想を実現したいと考える。
(やや社内的な内容になりましたが、DOAの在り方、DOAの攻め方にかかわるものとしてお読みいただけたらと考えました。なお、このDRI通信第1号はデータ総研創立11周年を記念して10月1日発行の予定でしたが、メールアドレスの整理などで遅れてしまいました。2号からは月初に発行してまいりたいと思います。よろしく。)