本日は「運用保守を概観する」の最終回です。
【3】運用保守問題を工学的に解決する必要がある
以上のように、情報システムやそれを運営する情報システム部門が言わば宿命的に変化してきている中で、今後情報システムの運用保守はどうあるべきでしょうか。運用保守コストが情報システム全体のコストに占める割合は年々増加し、今では全体の75%が運用保守に関わるコストだといわれています。あるお客様では、十数年前と比較し、運用要員が2倍になっており、このまま増加傾向が続くことに大きな危惧を抱いています。現在は、増員分を労働力が安いオフショアで賄っており、コスト上の問題はなんとかクリアしている状態ですが、それは対症療法的施策に過ぎません。係る問題をコスト問題として捉えることも必要ですが、本質はそれよりも大きな問題をはらんでいます。すなわち、人知の及ばないほどに巨大化した情報システムをどのようにコントロールするか、という問題です。
かつて1960年の終わりに、アメリカの国防省で発生した諸問題を発端としてソフトウェア危機が叫ばれ、それを契機として今日までソフトウェア工学が発展してきましたが、それと同様に今運用保守の世界でも、本格的に工学的な解決策を模索する必要があります。
【4】運用保守現場のモチベーション向上に向けて
情報システムの運用保守業務というと、「地味」「暗い」したがって「モチベーションが上がらない」といったイメージを思い浮かべます。どちらかと言えば、関係者の間で後ろ向きの業務と捉えられているのではないでしょうか。毎年の運用保守予算案もお役所の予算立案と同様に、前年をベースとしたものになりがちです。新規開発案件では、経営の稟議を通すため便宜的に新規情報システム導入による運用保守費用の軽減を試算することはありますが、稼動後その試算が厳密にモニタリングされることはあまりありません。
近年ではITILやSLAを社内に適用し言わば一種の聖域となっていた運用保守コストの改善に取り組む企業が増えてきました。今後、運用保守に関わるコストを定量的に評価し改善に取り組む企業は増加していくと考えられますが、その施策には運用保守業務の現状を批判的に捉えて上意下達で実施される雰囲気があります。重要なのは、運用保守業務に携わる現場担当者自らが目標を持って積極的にカイゼンに関わることだと思います。現場担当者が日々創意工夫しながら職務を遂行することは、運用保守コストの改善に繋がるだけではなく、それにより担当者のモチベーションが醸成されることにも貢献するからです。
【5】おわりに
今回は運用保守に纏わる諸環境について思いつくままに述べさせていただきました。次回からは、皆様のご意見も取り込みつつ、もう少し技術的な話題を取り上げていきたいと考えています。
コンサルタント 坂井 久司
コンサルタント 大西 美佳
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