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物流と商流[2]

(物流と商流の続きです。)
ここで商流と呼んでいるのは所有権の異動です。
所有権の異動を考える際、「企業間」における所有権の異動を捉えることは当然ですが、「組織間」における所有権の異動も捉える必要があります。

理由はいくつかあります。
第一に、データモデルの視点で言えば、こういった取引は企業間でなくて組織間で発生します。つまり、データとして残った記録を見たとき、「A企業がB企業から受注した」という捉え方に止まらず「A企業のAA組織が、B企業のBB組織から受注した」と捉えているからです。受注先を表す顧客コードは、企業に値を与えているのではなく企業内の組織に値を与えています。
「取引は組織間で発生する」と考えた方が自然なのです。
第二に、連結経営・グループSCMの時代においては、企業という枠組みで損益を管理するよりも組織という枠組みで損益を管理した方が、業務実態を的確に表現できるからです。たとえば、グループ企業の在庫管理で話題にのぼる「未実現の利益を把握したい」といった業務要件があります。「グループ企業群の外に商品が売れるまではほんとうの利益ではない」という捉え方です。在庫金額の中に潜んでいる利益金額がどの組織でどれだけ存在するか、可視化することは重要です。このようなとき、企業という枠組みで所有権の異動を管理するだけでは不充分なのです。グループSCMを考える際は、「グループ内の企業・組織は自分の企業のように業務実態を把握したい」ということなのでしょう。

さて、物流と商流がきれいな1:1の関係にならないことは、前回の日記で紹介しました。
長い年月で物流と商流の進化を観察すると、物流が進化せずに商流だけ進化するとか、その逆が起こります。つまり、物流と商流の進化は非同期なのです。
ところが、多くの日本企業は、物流から商流を自動的に生成するようなソフトウェアの作り方をしています。いや正確には、そのような業務要件をユーザが望んだから、ソフトウェアの機能がそうなっているのでしょう。物流だけが変化しても商流だけが変化しても、両方を修正しなければならない状況です。先に紹介した、物流種別と商流種別をきちんと区別して設計していないところにも問題が潜んでいます。
(つづく)