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認識の経済学2

企業が社員の結婚を捉える際に、認識の経済学が働きます。
企業の管理目的を気にしなければ、結婚のエンティティ構成は次のようになります。


人エンティティ
 [人コード]−(人名)
 種別:リソース
結婚エンティティ
 [結婚番号]−(夫となる人コード、妻となる人コード、結婚年月日)
 種別:イベント
しかし、企業は目的とする事業と関係する人だけに興味を持ちます。すべての人を登録管理することはありません。必要なのは社員だけです。従って、エンティティの構成は次のようになります。
社員エンティティ
  [社員コード]−(社員名、結婚区分、現時点の配偶者名)
社員異動エンティティ
 [社員コード.社員異動番号]−(異動種別(=結婚)、異動年月日、配偶者名)
結婚する人の一方は社員ですが、もう一方は社員かどうかわかりませんので、人名のみデータ構造に表われます。社員以外の人には、人コードのような識別子が使われません。
そして、結婚エンティティは、二人の人に中立的な出来事として認識されるのではなく、社員側にひきつけて(社員の従属データ項目の変更として)認識されます。
企業の管理目的によって、エンティティの形はゆがめられています。管理するものと管理しないものの境界線があり、その境界の淵では実世界がゆがんで見えます。
最近、連結企業のエンタープライズアーキテクチャ策定を支援することがありますが、この境界線が広がるので従来の視点のままではエンティティの認識を誤ることがあります。
また、情報システムの全体最適化を考える際には、全体をいくつかに切ることがありますが、切ったものと切ったものの境界線にも注意が必要です。「ある部分」と「別な部分」の目的が異なると、実世界が違って見えるからです。

黒澤 基博