「現状分析がなぜ必要か?」
業務設計の4工程で紹介した、基本どおりの作業展開を提案すると、ユーザやシステム担当者の中には「現状分析工程を飛ばして、課題設定や新規設計からスタートすれば良い」と言う人たちがいます。
彼らの主張は次のようなものです。
1 現状の業務については良く知っている。
「現状の業務について、我々は非常に良く理解している。だから現状分析工程を実施するのは時間の無駄である」という声を聞きます。経験者で自信のある人ほど、このように思う傾向があります。
しかし、実際に現状分析の結果を見れば「ユーザそれぞれに認識が異なる」「同じ言葉で違う定義が存在する」「個人の頭にあるだけで形式知化されていない」「特定の業務改善の視点が、最初から意識されていない」などに気がつきます。
2 新規業務のイメージが現状の姿に引きずられるため、革新的な業務設計ができなくなる
「業務改善でなく業務改革したい。そのためには、現状業務のイメージがあると邪魔になる。」という意見があります。ある意味でこれはほんとうです。現状業務の枠組みから抜け出せず、新しいアイディアが出てこない人がいます。
私の経験では、概念データモデルの現状と新規の差は、せいぜい2割程度の違いしかありません。どれほど頑張って現状を変えようとしても、データ構造に影響を与えるような変化は少ないのです。ですから、エンティティやデータ項目に関しては、現状分析から入ったほうが良いと考えています。
一方で、業務プロセスの現状と新規の差は、5割以上違うこともあります。論理組織の違いや業務プロセスのもつトリガの違いが、業務のあり様を大きく変えてしまうからです。業務プロセスの設計は、新規設計から入る手もあるでしょう。
ただ、仮に私が実施するのであれば、やはり現状分析から入ります。新規設計で業務要件が決まらずに大変な状況に陥ったとき、戻る場所ができるからです。プロジェクトマネジメントの面から言えば、リスクヘッジしたことになるでしょう。
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