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「もの」よりも先に「出来事」を認識する

ビジネスの世界では、契約すなわち「約束事」があって、それに基づき「物やサービスの提供」「対価の受取」が発生します。取引を行う当事者間で、あらかじめ決めておいた順序で「出来事」が発生します。契約が無い場合であっても、取引者の一方が提示した取引方法や商法で決められたルールがあって、その範囲で「出来事」が発生します。


また、ビジネスの世界は、多くの人々が協力して働く世界です。出来事の記録、コミュニケーションの記録が、仕事を実行した当事者はもとより、当事者以外の第3者にも理解できる形で残される必要があります。この意味でも、「出来事」の認識は重要です。
したがって、ビジネスを可視化するためには、まず出来事(業務機能=DO)を明らかにします。ドキュメントとしては、業務機能の一覧表、デコンポジションダイアグラム、ワークブレイクダウンストラクチャー、業務フロー図などを使います。
概念データモデルを作成する場合でも、「もの」よりも先に「出来事」を理解し、「出来事」を表すエンティティからモデル化する方法があります。我々は、イベントモデリングと呼んでいます。
概念データモデルで「出来事」を正しく表現するためには、「出来事の名」だけでは不充分です。誰が、何を、いくつ、どこに、いつ、など5W2Hに相当するデータ項目が必要になります。5W2Hに相当するデータ項目はリソースエンティティとして「もの」を表現しています。すなわち、「出来事」の記述のためには「もの」が必要だということになります。「出来事」を先に認識しているように思えても、実質的には「もの」をほぼ同時に認識しているのです。

黒澤 基博