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データガバナンス

今、いたるところでデータの整合性に関する問題が顕在化し、これを解決する活動が盛んです。コード統一・マスタ統合と称して、データを標準化するプロジェクトは、データの不整合を解決する典型的な例と言えるでしょう。


データの不整合を解決する目的はさまざまです。2〜3の例を紹介します。
・企業が外部に開示する情報のクオリティに問題があり、コンプライアンス上すぐに改善しなければならないケース。
・全社的な在庫適正化をねらったプロジェクト。在庫データの把握に必要な、Who・Where・Whatをあらわすコードの統一。
・金融業界・通信業界における、契約中心から顧客中心へのデータ構造変革。複数の契約に関わる同一人物・同一企業を識別するためのしくみとして、顧客マスタの統合が不可欠。
このようなプロジェクトを実施する際に顕在化するデータの不整合は、実は5年10年といった期間をかけてゆっくりと広がってきました。ここ10年、ERPパッケージの導入やWebシステムの短期開発に一生懸命で、データガバナンスは忘れられていたのではないでしょうか。
データガバナンスとは、データの標準化を徹底させることによって、データのみならず業務アプリケーションをも統制する方法です。
データガバナンスが正常に機能していれば、次のような状態が保たれます。
・同じ意味のデータが2重、3重に重複することなくただ一箇所で管理されている状態
・1つの意味(対象)にただ1つのデータ名がつけられ、同名異義・異名同義のない状態
・コード変換やファイル変換が不要な状態
その結果として
・情報システムの保守コストを低いレベルで維持できます
・利用者に対して使いやすい統合データ、すなわちコーポレートレベルのシングルビューを提供できます
・複数の業務にまたがった重要業績評価指標(KPI)を適切なタイミングで開示できます
・システム統合のボトルネックになる現状調査をほとんとゼロにできます
ところで、「1980年代のアメリカではデータガバナンスは機能していたのか?」振返ってみます。概念データモデルを作成して、同じ意味のデータにはただ1つの名称を付与し、正式名を決めました。その正式名に桁数の少ない略名を設定し、略名をプログラムやデータ定義体で使用する「データマネジメント」がいたるところで実施されました。
日本でも時期の違いはあれ、同様の取り組みがありました。
1つの意味(対象)にただ1つのデータ名であれば、どのようなシステム環境で実装されていたとしても、変更の影響範囲がすぐに調査できます。高度なリポジトリ環境がなくても、各システムに存在する検索機能があれば充分でした。当然、データの重複も防止可能でした。
今日、データの不整合がいたるところで顕在化しているのは、システム環境とビジネス環境の大きな変化によるものです。それは、ユーザ企業のシステム構造問題であり、マネジメント問題でもあります。
データはユーザ企業のものであって、システムインテグレータやパッケージベンダのものではありません。個別システムの枠組みを越えて、全社的にデータの整合性を保持するのは、ユーザ企業の情報システム部門が果たすべき重要な役割だと思います。
データガバナンス機能の強化にチャレンジしてほしいと思っています。

黒澤 基博