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実世界の写像イメージ

実世界の写像・実世界のシミュレーション・実世界の構造を反映したソフトウェア構造など、「実世界とソフトウェアの構造が一致する、あるいは同じ形になる」といったイメージが存在します。私も、モデリングを始めたころは、これがモデリングの世界観として正しいものだと思っていました。
今から13年前になりますが、「ビジネスシステムの場合このイメージはどこか変だ」と思うようになりました。


実世界を写像した概念データモデルや業務フロー、コンピュータ処理として要求される入力処理・出力処理・加工処理、およびそれらの処理に必要な画面・帳票・ファイルの単純な構造は、出来上がるソフトウェアの構造と違う「形」をしていることに気づいたからです。
ソフトウェア構造の「形」は、ビジネスというよりも実装環境の役割分担の中で決まります。同じ業務、たとえば受注登録であっても、クラサバとWebでは、その実現方式の違いがソフトウェアの構造に影響します。逆に、実装方式を1つに限れば、受注登録であっても顧客登録であっても、画面から何かを登録してファイルに書き込む処理は、似た形をしています。
そこで、今では、「ビジネスロジック層」「制御ロジック層」の2つの視点でソフトウェアの構造を見るようにしています。ビジネスロジック層は、非常に単純で実装環境から独立して記述することができます。
実世界の対象・概念モデルでそれを写し取った対象・さらに論理モデルで表現される要素・実装モデルの要素が、1:1:1:1に対応づくイメージは非常に危険です。今では、そういった世界観をもった人は少ないかもしれませんが、私自身はこのイメージにミスリードされて、モデリング結果の品質が危うくなった経験があります。
良し悪しをそれほど吟味せずに受け入れているモデル観、世界観がありませんか。私の場合、知らず知らずのうちに1:1:1:1のイメージをもち、「そうならないのは私のモデリングが間違っているのではないか」という意識がどこからか湧いてきたのです。
物事の本質に迫るためには、自分自身の囚われに気づき、すべてを相対的、客観的に見つめ直す勇気が必要なのでしょう。

黒澤 基博


データ総研のMDMソリューション