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モデリングのコンテクストを感じる時

コンテクストは、文脈や状況などと訳されます。モデリングのコンテクストとは、モデリングの目的や範囲から決まってくる、モデリング自身の位置づけです。


概念データモデリングの技法を教えている場面で、いくつかの質問を受けることがあります。その中で、典型的な質問をとりあげてみます。
質問:購買伝票を分析している時「消費税率というデータ項目のKEYは何ですか?」と聞かれました。伝票上にはKEYらしきデータ項目が見つかりません。
普段から、「データ項目はいずれかのエンティティに従属します。そしてエンティティはKEYをもちます。きちんとKEYを見つけてください」と言っている先生役にとっては、答えにくい質問です。さて、どう答えたものか・・・・。
消費税率は、現時点では日本国で1つの値しかありません。今、モデリングをしているコンテクスト、すなわち、ある特定の企業における購買業務のアプリケーション開発を考えた場合、消費税率のKEYは見つかりません。
国別に決まっていると認識すれば「国コードがKEYになる」と答えても良いでしょう。あるいは、現時点だけではなく時間的な幅を意識すれば「消費税率バージョン番号がKEYになる」と答えることもできます。会計業務の領域では「税種別コードがKEYになる」という答えもあるでしょう。しかし、実際はこのように答えるわけにはいきません。
消費税率の例のように、モデリングのコンテクストの中で値がただ1つに決まるため、KEYが必要ないデータ項目もあるのです。
普段のモデリング作業では明示的に意識しない、業務領域や時間幅の境界線をふと感じる瞬間です。
ちなみに、実世界を見る立場によってコンテクストが決まります。消費税率の例でもわかるように、コンテクストによってはKEYが異なるケースがあります。モデリングの結果が「唯一の答え」になるのは、同じコンテクストの中に限った話なのです。

黒澤 基博


データ総研のMDMソリューション