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TOBEアーキテクチャ策定のポイント

エンタープライズアーキテクチャ(以下EA)策定で、情報システムの全体最適化や情報基盤構築を考える際には、業務統合についても検討することになります。

たとえば、グループ企業における最適化では、複数社の会計業務や購買業務を統合することになります。
同じ機能をもつ業務を統合すると、次のようなメリットがあるためです。
・会計業務は、グループ内の人員スリム化や情報システム一本化によるコスト削減。ガバナンス強化。
・購買業務については、会計業務と同様のコスト削減に加えて、購買量を拡大することによる交渉力強化・購買金額の削減

ところで、EA策定では、ASISアーキテクチャからTOBEアーキテクチャへ移行する計画を立てるのですが、コア業務とノンコア業務については、資金投入の額や移行の優先度が異なります。
コア業務とは顧客を獲得し利益を上げることに直接関係する業務、ノンコア業務はコア業務ではない業務を指します。

会計業務はノンコア業務に分類されるので、差別化のための業務設計などは必要なく、一般的なやり方で業務が遂行できれば良いと考えます。
したがって、情報システムの構築においても、業務パッケージを導入し、業務のやり方をこれにあわせる方向で標準化します。

一方で、コア業務に分類される業務は、競合他社との差別化が必要なので、業務パッケージに合わせるのではなく、独自のやり方を大切にします。
ある会社でASISアーキテクチャ策定時、複数の生産管理業務をモデル化し比較したことがあります。
データアーキテクチャは95%同じだったのですが、業務プロセスは半分も一致しません。
部署の細分化が違ったり、役割分担が微妙に異なります。
それぞれのやり方に必然性があるかといえば、たまたまそうなっただけのケースが多く見受けられます。
しかし、中には他社にはない強みが見つかることがあります。

たとえば、納期回答に関係する生産オーダー業務。
納期回答は営業業務に含まれますが、生産業務と密接な関係があります。
お客様から商品の購入に関する希望数および希望納入日の問い合わせがあったときに、営業担当者は即座に応えなければなりません。
指定された希望納入日に要求される数を揃えられるかどうか、確認する必要があります。
納期回答後お客様から正式注文をいただければ、その商品数を確保する必要があり、納期回答段階では、在庫を仮押さえしておくのが一般的です。

この方法には、いくつかのやり方が存在します。
1)現在倉庫に置いてある在庫数を見て、仮引当する方法
2)未来日付の在庫数をシミュレーションして、仮引当する方法
3)生産オーダーを仮に作成して、未来日付の生産力とコア部品を仮引当する方法
上記の1)よりも3)が高度な業務連携を必要とします。
さらに3)が高度化すると、営業担当者が介在することなく、お客さまが自分のPCから問い合わせし、結果を自動的に返すようになります。
こうなると、営業業務と生産業務そして購買業務まで含めて、一連の流れが整合性をもって設計されることになります。
この種の業務プロセスやデータアーキテクチャは、業務の洗練された力強さを反映しており、美しいと感じます。

話を元に戻します。同じ生産管理業務であっても、工場別や会社別の違いが見つかります。
これらを比較して、違いの理由に必然性を見出す考察を続けると、やがて一番効率の良い業務の形が見えてきます。
ある業務はA工場のやり方が、別な業務はB工場のやり方が良いといったことが見つかります。
一番良いやり方を選び、他の工場がそれをまねることができれば、確実に業務改善が進みます。
その会社の文化の中で育まれたやり方だからです。
どこかの本で読んだベストプラクティスを持ってきて、やってみたけれどうまく行かなかった・・・ということは避けられます。

私はこのようなやり方で業務改善点を見つけるやり方を「トーナメント方式」と呼んでいます。
一番良い業務のあり方を選ぶ過程が、勝ち上がり方式のトーナメントに似ているからです。
TOBEアーキテクチャを策定する際には、このトーナメント方式と経営戦略から発想するトップダウンのやり方を組み合わせることになります。

データ総研 コンサルタント