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情報活用の難しさ

前回の「趣味・娯楽での情報活用その1(馬券購入における情報活用)」で、初めて砕けたテーマを取り上げたわけですが、大勢の皆様からご質問をいただき、その反響のすごさに驚いております。
「説明の無かったファクターについても説明してほしい」
「本当に24のファクターを見ているのですか?」
「結局のところ、勝っているのか負けているのか?」
など、さまざまです。
データマネジメントと直接かかわっている質問ではないようですが、読者の皆様に楽しんでいいただけたようで、良かったと思っています。
半年後か1年後に「その2」を書くことにしましょう。

前回のテーマで私が伝えたかったことは、10年分のデータを蓄積し、24のファクターを使って分析したところで、従来の経験と勘で勝ち馬を予想していたのでは、結局のところ何も改善しないということです。

今回は、ある小売業の会社で新しく情報活用のツールを導入した際の出来事を取り上げます。
このツールは今でいうデータウエアハウス(DWH)やビジネスインテリジェンス(BI)といった分野に分類されるものです。販売データ(販売商品、数量、金額、時刻、性別、年代など)と他のデータ(当日の天気・気温・特売品対象かどうかなど)を関連づけて、販売傾向を表示するものです。

あるとき、経験豊かな店長さんが販売分析の結果を見ながら、「結局この分析結果は使えない」と主張しました。その理由を次のように語りました。(以下のコメントを読む前提として知っておいていただきたいのですが、この店舗は海水浴場に隣接しています)

「暑い日には、アイスクリームと水ものが良く売れる。ただし、あまり暑すぎるとアイスクリームは売れなくなる。夏でも、たまにあたたかいものが売れる。なぜか理解できないがおでんが多く売れることがある。海開きの日は、人が沢山集まっておにぎりやお弁当が売れそうだが、近くに屋台がでるから、通常の日よりも売れない。要するに、この販売分析はそういった個々の理由まで考慮して分析していないから信用できない。なんといっても、私の感覚と何かずれている」

せっかく新しい情報活用のツールを導入したのですが、この店では使われずに終わりました。使われなくなった一番の理由は、情報活用の当事者が持つ違和感、すなわち「私の感覚とずれている数値」をどのように扱えばよいか答えがなかった点です。

なぜ特定の日に特定の商品が多く売れたのか、たとえば、なぜ8月1日におでんが普段の3倍も売れたのか、確かな根拠を示して説明するのは難しいものです。
しかし、ここで理由がすぐに思いつかないからといって、その先を考えることをやめてしまっては進歩がありません。対処の方法としては、少なくとも2つ考えられます。

1つは、「個々の理由はわからないままとして、ある種の傾向は確実に存在する」と分析結果を受け取ることです。「8月1日におでんが売れる理由はわからないが、1週間単位で考えると確率50%で2日~3日おでんが売れる日が続く」といった理解の仕方ができれば、何らかの対処法が考えられます。

もう1つは、個々の事情を可能な限り追いかけることです。一番素直な方法は買いに来た人に聞くことです。おでんを買いに来た人に「今日は暑いのに、おでんが食べたくなるんですね?不思議ですね・・・」などと話かけるのです。すると「実は海水が冷たくて30分も海に入っていると、体が冷えて寒いんだ」などと答えが返ってきます。実際の販売データを確認すると、多くの人が寒さを感じる15時~17時ごろにおでんの販売が集中していることがわかります。

普段の感覚と違う、あるいは、分析結果をどう解釈して良いかわからない、そんな状況になったとき、現場の人間だけに考えさせると「もうこのツールは使えない」といった短絡的な結果になりがちです。情報活用を成功させるためには、活用の方法に慣れていない現場を手助けすることが不可欠です。

データ総研 コンサルタント