» 情報活用と情報システム部の役割

株式会社データ総研 データ総研のオンサイト教育
製品案内 DMBOK ITコンサルティングサービス ITコンサルティング事例 紹介セミナー 教育コース 技術情報 DRIブログ 会社概要
情報活用と情報システム部の役割

なぜ、何のために、データマネジメントするのでしょうか?
このテーマについては、「データマネジメントの意義」というタイトルで今後シリーズ化するつもりですが、簡単に言ってしまえば、「情報活用が経営または業務を良くすることに役立つから」です。

JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の企業IT動向調査2012の調査結果によると、IT部門がIT投資で解決したい中期的な経営課題の1位は「迅速な業務把握、情報把握(リアルタイム経営)」2位は「業務プロセスの効率化」となっています。
http://www.juas.or.jp/servey/it12/index.html

1位の「迅速な業務把握、情報把握(リアルタイム経営)」に関しては、まさに情報活用そのものです。たとえば、比較的大きな企業では、データウェアハウスシステムを構築し、各業務向けのデータマートを構築し、各ユーザ部門が業務遂行のために情報を活用しています。業務実態を知るためには、日々のトランザクションデータから統計的に計算された加工データまで、さまざまな種類のデータを見る必要があるでしょう。もちろん、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定し、これを軸としたPDCAサイクルを回します。目標値に近づけるため、現場の働き方が変わります。

数年前の調査で2位だった「迅速な業務把握、情報把握(リアルタイム経営)」が1位になった理由は、経営者が広い範囲で精度・鮮度の良い情報を求めているからでしょう。直接的な要因は、リーマンショック・タイの洪水・ユーロの金融不安・領土問題などによって事業環境が大きく急激に変化したことです。「自社で何が起きようとしていたのか素早く把握できなかった」「もっと感知能力を向上させたい」と経営者が思ったからです。

2位の「業務プロセスの効率化」も経営上の重要なテーマです。データではなくプロセスに着目しているので、一見データマネジメントと関係ないように思えますが、そうとも言い切れません。2011年にシカゴで開催されたEDW(エンタープライズデータワールド)のキーノートスピーチ(Avoid Process Data Headaches:
Align Data Management and Business Process Initiatives(Rob Karel, Forrester Research)では、次のように言っていました。私の当日のメモなので、一部舌足らずのところがありますが、ご容赦ください。

1マスタデータを整備することがビジネスプロセスと意思決定を改善する。
aそれがわかるまでに我々は3年の期間と数百万ドルを使うことになったが、データマネジメントはビジネスを支援するイネーブラである。ただし、それ自身はコスト削減するものでもないし利益を生むものでもない。

2現状のビジネスプロセスとデータマネジメントは整合性が取れていない。
a成功事例を見ると、効果的なデータマネジメントはビジネスプロセスに焦点を絞っている。プロセスとデータは同じコインの表裏である。

3プロセス&データガバナンスに焦点を当てることは、プロセスとデータそれぞれの取り組みを価値あるものとする。
a現時点では、両方に焦点を当てた取り組みは、まだまだ充分でない。37%はIT主導のデータマネジメントでビジネス側の参画は最低限である。46%のデータガバナンスは未熟である。
bデータマネジメントは、もっとも優先度の高いビジネスプロセスと意思決定に着目すべきだし、ビジネスプロセスの改善活動は、データクオリティに関する説明責任を受け入れるべきである。データクオリティが低い状態だと、例外的プロセスがいくつも必要になり、正常にプロセスが実行される場合の何倍も工数と時間がかかる。

4サマリー
aプロセス・データ・マネジメントは、データマネジメントとビジネスプロセスと意思決定とを整合させる。ビジネスプロセスと意思決定はマスタデータと分離して考えられない。だから、データガバナンスとプロセスガバナンスを一体化することが、現実的である。

5リコメンデーション
aプロセス改善とデータクオリティが深い関連を持ち、また両者が緊密に連携しなければならない、という事実を受け入れる。
bプロセスガバナンスとデータガバナンスのジョイントセッションを開催し、キーとなるタスクと成果物が同期をとるようにロードマップを描く。
cプロセス・データ・マネジメントの効果的サイクルを作り出し、維持するためのドキュメントポリシーとガバナンススタンダードが必要である。

キーノートの紹介で少し横道にそれたかもしれませんが、要するに、「業務プロセスの改善には、データクオリティの改善が有効である。もっと踏み込んで言えば、両方同時に取り組むべきである」とRob Karel氏は言っています。

1位の「迅速な業務把握、情報把握(リアルタイム経営)」と2位の「業務プロセスの効率化」を見ておわかりのように、従来の情報システム部門が担っていた役割すなわちコンピュータシステムの開発・維持は、IT投資で期待することではなくなりました。それは出来て当然のこととして、経営・業務にもっと直接的な結果を期待されています。その中でも、情報活用による業務把握・ビジネスプロセスの改善の2点が注目されています。

今後、情報システム部門はこの2つ役割を重視し、部門内に貢献できる人財を育てることになるでしょう。KPIの設定・活用や業務プロセスの良し悪しに提言できる人財を。

データ総研 コンサルタント