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情報システム構造は戦略に従う~システム統合によるスリム化と肥大化~

エンタープライズアーキテクチャの目指すところは、
1)経営戦略・事業戦略に貢献する情報システムアーキテクチャの実現
2)情報システム群としての全体最適化
3)情報システムに関わる計画・構築・運用・保守の効率向上
の3点に集約されると考えています。

特に2)が狙っていることの1つは、グループ企業で重複するアーキテクチャを可能な限り統合することによるスリム化効果です。スリム化は、多くの場合コスト削減に直結します。

たとえば、共同利用が可能なグループ企業向け統合会計システムの構築を考えてみます。

ビジネスアーキテクチャ(以下BA)の視点で言えば、各社の会計部門を統合しシェアードサービス化します。それぞれの会社に10名ずつ存在した会計担当者は、5社統合であれば50名になりますが、業務を標準化し効率化できれば統合後は30名に減らすことが可能です。

データアーキテクチャ(以下DA)、アプリケーションアーキテクチャ(以下AA)の視点で言えば、5つの情報システムが1つになるため、年間の運用・保守費が5分の1になります。(ほんとうは単純に5分の1にはなりませんが、話しをわかりやすくするために仮置きします)また、IFRS対応なども5つの会計システムがばらばらに存在する時と比較してすばやく低コストで対応可能です。

テクノロジーアーキテクチャ(以下TA)の視点で言えば、5つを1つにする効果は他のアーキテクチャと同様ですが、さらに新しい環境になることでコストパフォーマンスの良さを実感できると思います。5つのシステムがメインフレームなど比較的高価なインフラ上で構築されていた場合、新しい環境に移行すると劇的にコスト構造が改善します。

このような施策は、会計だけでなくすべての業務領域で可能です。ただし、業務領域によっては、BAの統合はできずAA,DA,TAの統合は可能とか、BA,DA,AAの統合はできずにTAの統合は可能、などのばらつきが出ます。

さて、EAを策定した際には、こういったスリム化を実現できると想定し、システム統合を進めるのですが、実際は大変な事態を招くこともあります。

会計システムのように業務が画一的であれば、その標準化も容易ですが、製造や営業など各社の特徴が出やすいところは、業務の標準化が難しいのです。業務が標準化できないまま、無理やり1つのシステムに統合すると悲劇です。

「情報システムの数としては5つが1つに減ったが、機能数で見ると1+1+1+1+1で5のままになっている」ということも発生します。こうなってしまうと、システム数ではスリム化したように見えて、保守工数や要員数では、かえって肥大化してしまったということになります。複雑で巨大な情報システムは、かえって扱いにくく運用・保守費は膨らみます。

全体最適化というと、標準化や統一ということが全面に出やすいですが、競争領域で各社の強みを生かすのであれば、個別で自由に変化できる部分を積極的に残すべきなのです。EAでいう全体最適化は、標準化と個別化のバランスが重要なポイントです。そして、その判断は経営戦略・事業戦略に従うべきです。

データ総研 コンサルタント