今回は、CMMI Instituteが開発したデータマネジメントマチュリティモデルを取り上げます。ちなみにデータマネジメント通信5号2012.9)でもマチュリティモデルを話題にしたので、「データマネジメントマチュリティモデルって何?」という方はそちらもお読みください。
まずは、次のリンクを参照し、そのデータマネジメントマチュリティモデル(以下、DMMモデル)を確認してみましょう。
http://whatis.cmmiinstitute.com/data-management-maturity
ここに書かれているとおり、DMMモデルは、データマネジメントに関するプロセスの成熟度をアセスメントしたり、改善するために使われます。その意味ではCMMIと同じような使われ方になります。
DMMモデルは、6つのカテゴリと25のプロセスエリアを持っています。6つのカテゴリは次のとおりです。
1 データマネジメントストラテジー
2 データガバナンス
3 データクオリティ
4 データオペレーション
5 プラットフォーム&アーキテクチャ
6 サポーティングプロセス
それぞれのカテゴリは3~6つのプロセスエリアを持ちます。図の右側にプロセスエリア名が列挙されているので、そちらでご確認ください。
このDMMモデルを見て、最初に気がつくのはDAMA-DMBOKの10のデータマネジメント機能よりカテゴリの数が少ないことです。つまり、データマネジメントに関わるアクティビティが網羅的に捉えられているかどうか、心配だということです。しかし、この点については大丈夫だと思われます。DMMモデルの内容をもう少し詳しく読んでみると、6つのカテゴリのどこかにDAMA-DMBOKのアクティビティが含まれています。たとえば、リファレンスデータとマスタデータマネジメントは5プラットフォーム&アーキテクチャの中に記述されています。現在詳しく調査中なので、もし違っていれば再度お知らせいたします。
DMMモデルでは、各プロセスエリアごとに次の内容を説明しています。
・目的
なぜこのプロセスを導入したくなるかの理由
・紹介メモ
組織が何を実施することになるかの定義
・ゴール
組織が持つべきケイパビリティの記述
・コアクエスチョン
成熟度を評価するための質問
・関係するプロセスエリア
インプットやアウトプットで関わる他のプロセスエリア
・ファンクショナルプラクティス
レベル1:Performed~レベル5:Optimizedの各段階で何が達成されているべきかの記述
・ワークプロダクトのサンプル
初期段階で参考にできそうな成果物サンプル
組織の成熟度レベルを評価するためには、適切な質問を投げかける必要があります。上記のコアクエンチョンとファンクショナルプラクティスの説明は非常に参考になります。
もし、皆様の組織においてもデータマネジメントの成熟度を評価したいのであれば、DMMモデルを参考にしてはいかがでしょうか。ただし、このマチュリティモデルでは「何を実施しているか・していないか」については評価できますが、「データマネジメントした結果の状態」については評価できませんので気を付けて使う必要があります。
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