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データマネジメントの意義 その2 「医療データの統合」

明けましておめでとうございます。新しい年を迎え、新たな心持ちで仕事を始めております。今年もよろしくお願いいたします。

今回は、データマネジメントの意義その2として、「医療データの統合」です。データマネジメントの意義シリーズは、過去の事例を中心にお話するつもりですが、今回はちょっとだけ未来のお話です。

先日、私の妻が3冊の「おくすり手帳(処方薬手帳)」を手にしながら、「これどうしよう?」と私に話かけてきました。A薬局、B薬局、C薬局それぞれから渡された手帳があり、別々に使っているというのです。A薬局に行くときはa手帳を持っていき、B薬局に行くときはb手帳を持っていく・・・といった具合です。

おくすり手帳を利用する目的は、主に次の2点です。
1 処方された薬の履歴が手帳に残るので、他の病院や薬局にこの情報を提示することにより、薬の重複や飲み合わせの害を防ぐことができる。
2 万一、外出時に病気で倒れたり事故にあったとき、この手帳を持っていれば救急救命処置が迅速にできる。(特に持病のある人には)

おくすり手帳の本来の目的から言えば、3冊の手帳は1冊に統合しておかねばなりません。妻の場合は、他の薬局の手帳を出すのに抵抗があるらしく、3冊ばらばらに使っているということです。これらの手帳の統合は自分でやるしかありません。

ちょっと未来の話というのは、この「おくすり手帳」の対象をおくすりだけでなく病歴などにも拡げ、しかもデジタルで実施したらどうなるか・・・というものです。私たちは自分の病気や健康に関するさまざまなデータを持っています。
・基本データ・・性別、年齢、他(住所、職業など)
・健康診断・・・検査データ(テキスト、数値、レントゲン写真の画像など)
・病院診察・診療・かかった病気の種類、検査データ(テキスト、数値、画像)、通常の処置内容と結果、特別な処置内容と結果(手術や先端医療)
・家族の病歴・・父、母、祖父、祖母、兄弟の病歴
・薬局・・・・・処方した薬の種類、量、期間、患者本人のメモ(副作用等)
・医療保険・・・加入している医療保険の種類、サービスの内容
・その他・・・・食べ物の好み、喫煙・飲酒・運動の習慣、職業(たとえばアスベストを吸い込む可能性がある仕事をしていたかなど)、地域(放射能・公害などの影響がある地域に住所があるか、以前住んでいたかなど)

これらのデータを1つの医療データシステムで管理し、病院・製薬会社・薬局・患者などで共用するのです。ちなみに、現在は一人の患者に関するデータは、各機関がバラバラに保持しています。おくすり手帳がねらっていた「処方する薬の重複や飲み合わせの害」は医者が処方箋を書く段階で防げます。いままでの病歴や副作用などがわかれば、患者一人ひとりに対して、最適な医療を施すことも可能です。さらに、これらのデータから特定のパターンを取り出すことができれば、家族の病歴と健康診断のデータおよびその時点の症状から、病名を高い確率で推定することもできるでしょう。また、1つの病名に対して、一番効果のある薬はどれだったかということも比較できるようになります。適用される保険の種類まで含めて、一番安価で確実に直せる方法はこれだ・・などと医療データシステムがガイドしてくれるかもしれません。いずれにしても、統合されたデータが、いままでにない価値を生むのです。

ただし、このような医療データシステムがほんとうに実現するためには、乗り越えなければならないハードルがあります。たとえば、
・統合の中心となるIDが必要(個人ID、薬ID、病院ID、薬局ID、施術法IDなど)
・データの標準化が必要(たとえば、健康診断データの型・桁の統一など)
・センシティブな情報を管理するための枠組みが必要

医療・医薬業界全体で1つの医療データシステムが登場するのは難しく、当面は大きな病院や医薬会社が自分達の差別化のためにこの種のシステムを構築すると想定しています。また、実現しやすいのは個人IDが普及している国だと思います。残念ながらこの分野で日本は明らかに後進国です。

最後に、データマネジメントの意義として、みなさんに覚えておいていただきたいことは、「統合されたデータが新しい価値を生む」ということです。

今回のデータマネジメント通信はここまでです。また、次回をお楽しみに。

データ総研 コンサルタント