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データマネジメントの意義 その1

SCMの全体最適化:グローバルな情報統合による業務把握・業務変革

データマネジメントの意義については、さまざまな角度で分かりやすい事例をお話しようと考えています。今回のデータマネジメント通信はその1回目です。

テーマはサプライチェーンマネジメントの全体最適化です。この取組みの目的は、サプライチェーンを構成する拠点ごとに在庫数を把握・適正化し、サプライチェーン全体のスループットを向上させることです。結果として、棚卸資産が削減され、キャッシュフローも向上します。10年ほど前の取り組みですが、いまだに適用可能な内容だと思います。
業務改善の理屈を詳しく理解したい方は、制約条件理論(TOC理論)をご参照ください。
a ザ・ゴール(エリヤフ・ゴールドラット著)
b ウィキペディア:http://ja.wikipedia.org/wiki/制約条件の理論

データマネジメントの視点で言えば、次のようなことを実施しました。
1 各拠点の在庫数を管理しているシステム、ファイルの状況を調査
2 在庫数を把握する際のKEY(拠点コード、商品コード、組織コードなど)が何種類存在するかを把握
3 グローバルに把握すべき在庫数のKEYを設計して、あるべき在庫KEYを仮決め
4 あるべき在庫KEYと既存のさまざまなKEYとの変換ルールを定義(この段階で、仮決めの状態だった在庫KEYを本決定に)
5 この変換ルールが実際に有効であることを確かめるために実データをサンプリングして検証
6 システム間でデータを転送・変換・蓄積するためのツールを選定
7 ツールを使って、グローバル在庫参照用のシステムを構築
8 特定の組織・商品群を選びパイロット導入
9 パイロット導入の評価後、本格展開

要するに、データマネジメントとしては、コード体系や数量の表現形式・意味内容が異なるデータを統合して、グローバルに在庫数を見えるようにしました。統一した在庫KEYや既存のKEYとの変換ルールを管理することは、まさにMDM(マスタデータマネジメント)と言われる仕事です。この統一在庫KEYと変換表を維持しつづける組織を確立し業務フローを定着させるまでは、非常にゆれやすい状況で注意が必要です。
各システムから対象データを抽出・変換し、データベースに蓄積した上で、さまざまな切り口で在庫数を見せることは、データウェアハウスの構築・管理に相当します。既存のシステム環境に適したツールを選択し、コストがかからないように構築する必要があります。

一方で、一番大切なことは、「拠点別の在庫数をリアルタイムに近い形で把握できた後、それを最適化するために、どう行動するか」の業務ルールです。この部分については、物流のコンサルタントが入り、業務ルールを策定していました。
普通に考えると多くの業務担当者が自分の視点で部分最適な形で仕事をします。営業部門は注文がきたらすぐに対応できるように在庫を多めに抱えることが、顧客満足度を高めると考えます。物流部門は一度に運ぶ商品の量をなるべく多くし、大型の輸送車両を使った方が、1個あたりの物流費を安くできると考えます。生産部門は一回の生産量を多くすることによって、1個当たりの製造原価を安くできると考えます。購買部門は1回の購買数を多くすることにより、ボリュームディスカウントができると考えます。このようにして、個別最適の積み重ねが、SCM全体の在庫量を肥大化させます。
SCM効率化の最重要ポイントは、従来の価値観で仕事をしていた人たちに、「全体最適化の視点で○○してください」と新しい業務ルールを定着させることです。

グローバルなSCMの効率化は、1部門・1企業の枠組みを越えて業務を可視化し、活動を全体最適化することです。広範囲の情報統合基盤を支えるデータマネジメントが、まさに今経営から求められていることと感じます。

データ総研 コンサルタント