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データアーキテクチャの策定

今回のデータマネジメント通信は、「データアーキテクチャの策定」です。

データマネジメントの重要課題の1つにデータアーキテクチャ策定があります。中長期の情報戦略を策定するなかで、情報システムの全体最適化がうたわれ、データアーキテクチャについても、数年後の最適化されたイメージをTobe図あるいはCanbe図として、表現しなければなりません。

現状の情報システムは、各システムが個別最適で構築されてきた経緯から、同じ意味のデータがいたるところで重複し、また、不整合を起こしています。「以前は比較的きれいなデータアーキテクチャだったが、M&Aのために同類の情報システムが突然増えて、データの重複が倍増した」という悩みを抱える企業も存在します。Tobeを考える前にAsisのデータアーキテクチャを把握する必要があります。データの重複や不整合が現時点でどうなっているかを可視化しなければ何をどう改善すべきか考えることもできません。

私は、Asisのデータアーキテクチャを表現するために、概念データモデル図を使っています。もちろん、一般のシステム開発における要件定義で作成される粒度よりも、ずっと粗い概念データモデル図です。

データアーキテクチャ最適化の仕事は1995年ごろから手がけていますが、徐々に可視化のコツが判ってきました。本来はコンサルネタなので開示しないのですが、いくつかをご紹介します。

1)鳥瞰図が良い
  企業全体のデータを俯瞰するわけですから、細かい表現は必要ありません。エンティティ名のみ、あるいはエンティティ名と識別子のみを表現した概念データモデル図が適しています。

2)業務および情報システムとの関連を明示する
  データの重複と不整合を明らかにすることが第一の目的です。単にデータ構造を表現するだけでなく、そのデータがどの業務どのシステムで管理されているかを明らかにしなければなりません。

3)業務アプリケーション内のデータ構造を深追いしない
  何も気にせずに概念データモデル図を書くと、エンティティを表現し、エンティティ間の関係も丁寧に関係線で表現します。しかし、データアーキテクチャの策定では、エンティティが業務共通か業務個別か、同じエンティティが複数の情報システムに存在するかといったことが重要で、1つの業務内でエンティティの関係がどうなっているかについては、厳密に知る必要はないのです。情報システムの最適な切り分けを設計する際に、何がポイントかを意識し、上手に手抜きをしましょう。

4)用語整理の感覚でエンティティ名を洗練させるとうまくいかない
  「全社的な概念データモデルは、概略で良いのだから主要なエンティティをトップダウン的に出せば良い、あるいは知見のある人達数人が話し合って抽出すれば良い」というわけではありません。Asis図ですから、現状を的確に写像しなければなりません。エンティティの意味は、どのような名を与えるかに左右されますが、これを各人の感覚で実施すると正しい写像ができません。各人それぞれの出身業務によって、エンティティに対する呼び方が異なるためです。私達は、識別子を確かめ、その識別子の名前およびその識別子の値が与えられる範囲(活動定義域)を意識してエンティティ名を決めています。

5)類似のエンティティを目立たせる工夫が必要
  会社全体を表す図になるため、大きな図になることは避けられません。そのため重要なことがわかりやすい図を作成する必要があります。重複と不整合を可視化するポイントは、エンティティの配置ルールを決めておくことです。類似のエンティティが近くに配置されることで重複や不整合を発見しやすくでき、また、プレゼンテーションドキュメントとしても、わかりやすいものになります。

概念データモデル図は、Asis、Tobe、Canbeの順に作成するのが一般的です。良いデータアーキテクチャに移行することは、コストダウンや価値ある情報統合に貢献します。ぜひ、データアーキテクチャの最適化にチャレンジしてみてください。

データ総研 コンサルタント