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ザックマン氏の講演

先日、DAMA日本支部の主催により、アジアン・データマネジメント・カンファレンスが開催されました。エンタープライズアーキテクチャで有名なザックマン氏の講演があったので、その要点をご紹介したいと思います。

講演内容を紹介する前に、予備知識としてエンタープライズアーキテクチャを簡単に説明しておきます。
ザックマン氏の言うエンタープライズアーキテクチャとは、企業あるいは情報システムの構造を表現するための枠組みです。通称ザックマンフレームワークと呼ばれています。
http://www.zachman.com/
上記のリンクで参照いただければわかるように、ザックマンフレームワークは6×6のマトリクスになっており、対象物の構造を表現する成果物の位置づけを決めるものです。最下層の1行だけは、実際に構築された物を指しています。

それでは、講演の要点を私のセンスで抽出してみます。

1 エンタープライズ(企業や情報システム)を元素的な構成要素から成るものと考える
一般に、エンタープライズを表現する図やドキュメントは複雑でさまざまな要素から成り立っています。どのドキュメントにも共通に現れる本質的な要素を把握しておくことが重要です。 エンタープライズアーキテクチャのフレームワークは、プリミティブな要素を表す周期律表のようなものだ、とザックマン氏は言います。

2 6×6のマトリクスは本質的
ボーイングや100階建てのビルをつくる人たちに、どのように製造物を可視化しているかヒアリングした結果、ザックマンフレームワークの列と行の視点にたどり着いたそうです。
列の視点(What、How、Where、Who、When、Why)は言語構造に立脚しています。我々は言語を使った認識方法から逃れられませんから、この視点で整理されていることは非常に安定的です。
行の視点(プランナー、オーナー、デザイナー、ビルダー、インプリメンター)はものづくりに関わる人たちの役割を表しています。ボーイングやビル、情報システムなどのものづくりには、共通してこれらの役割が必要だったようです。(私個人としては、行の視点については本質的だとは思っておりませんが、この点については別な機会にお話しいたします)

3 アーキテクチャはトータルコストを改善する
ザックマン氏は「プリミティブなモデルを描いて、冗長性を排除せよ」と言います。プリミティブなモデルとは、1つの要素だけに着目したドキュメントを指します。たとえば、Whatを表すモデルには、Whatとそれらの関係だけを記述します。このドキュメントにHowやWhoなど他の要素を混ぜてはいけません。
1つの要素だけに着目すると、同じ意味のWhatが複数個所に現れることを発見でき、冗長性を排除することができます。
逆に、冗長性の高い製造物ができるとどうなるか想定してみます。Whatは、情報システムで言えばエンティティやデータ項目です。同じデータ項目が2個所に実装されていた場合、記憶量が2倍、値を登録する作業が2倍、桁を変更する作業も2倍、余分に2つの値・桁の整合性をチェックする作業まで付加されます。冗長であることは、運用時のコストを2倍以上にするのです。
プリミティブなモデルを描いて、冗長性を排除することにより、情報システムのトータルコストをミニマムにできるでしょう。

4 メソドロジーではない
エンタープライズアーキテクチャはメソドロジーではありません。つまり作り方の手順を示しているわけではありません。エンタープライズアーキテクチャの講演を聞いた後、「何か解決しそうな気がする。自分でも出来そうな気がする・・・」とならないのはそのためです。物事の考え方や捉え方を示しているだけで、具体的なソリューションではないのです。

5 急激な変化に対応する戦略がアーキテクチャである
自動車産業は「作り置きの時代」から「5日で注文に応じた車を作る時代」になった、とザックマン氏は言います。企業全体でエンジニアリングができるトヨタが、ビジネスを変えてしまったと。
「Time to market」の波は情報システムにもやってきます。あらかじめ部品を用意して必要なときに組み合わせる戦略をとるためには、アーキテクチャが必要です。プリミティブなモデルを用意しておき、必要な段階で行単位のモデル(What、How、Whereなどが複合するモデル)を作成することが1つの対処法だ、と教えてくれました。

調子に乗って書き進めるうちに2000字を超えそうなので、今回のデータマネジメント通信はここまでとします。エンタープライズアーキテクチャについては、機会があればもっと書きたいと思っています。また、次回をお楽しみに。

データ総研 コンサルタント