情報システムは言葉の定義を積み上げてつくる製造物です。
自動車やテレビなど一般の製造物と比較すると色・形・寸法・材質などを、見たり触ったりして確認できません。情報システムの構成要素である「業務」「エンティティ」「システム機能」「プログラム機能」が何か、多くの人が共通認識するためにはその名称をあわせる必要があります。
Aさんが「顧客」と言っていて、Bさんが「取引先」と言っているのでは、同じ対象を指しているのか、そうでないのか判断できません。「対象の呼び名」をあわせることが、コミュニケーションを成り立たせる大前提になります。
さて、通常のシステム開発は、現状分析から新規設計へと工程が進むのですが、工程に応じて「対象の呼び名」を選択する基準がかわります。
現状分析のときは、普段ユーザが使っている言葉を選ぶと良いでしょう。我々のような外部から入ったメンバおよび情報システム部門とユーザ部門との間で、正しいコミュニケーションが確立する場をつくる、そのことを最優先に考えます。ただし、ユーザ間で使う言葉が違っているときは調整して同じ言葉に統一します。
新規設計の工程に入ってからは、いままで使っていた言葉を尊重しながらも、新しい言葉を積極的に選ぶと良いでしょう。それは、新規設計のときに今まで扱っていた概念と別な新しい概念が登場してくるからです。たとえば、組織・顧客・業者を統合したパーティを認識する場合などがその例に当てはまります。今まで使ったことが無いパーティという言葉を積極的に選びましょう。また、新しいサブタイプを認識する場合も、それにふさわしい言葉を新たに選ぶべきです。概念が新しいのにそれを指す言葉が古いままだと、誤解する人が多く発生するからです。
良いシステム開発は、選ぶ言葉の1つ1つを吟味した、正しいコミュニケーションが礎となって進んで生きます。
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