最近、エンタープライズアーキテクチャの担当部署を訪問すると、よく聞かれることがあります。「データアーキテクトにふさわしい人財が社内で見つからないがどうすればよいか?」「データアーキテクトをどのように育成すれば良いか?適切な教育コースはあるのか?」などです。
ここで言うデータアーキテクトは、もう少し厳密に言えばエンタープライズデータアーキテクトです。企業全体のデータアーキテクチャを策定することやデータガバナンスをその企業に定着させることが主な仕事になります。たとえば、事業戦略の実現を阻害するようなデータ構造を見つけて最適化したり、データ品質を高めるための規則を決めて守らせたり、さまざまな仕事があります。
エンタープライズデータアーキテクトを育成する教育コースは、現時点では世の中に無いと思います。理由は2つあります。第一の理由は、この種の知識・ノウハウが蓄積されていないため、教育コースを作成できないことです。もう1つの理由は、たとえ教育コースを作成できるとしても、受講者が少ないことが想定されるので、作成したいと思わないことです。
エンタープライズデータアーキテクトの育成に関する悩みを自覚している企業は、まだそれほど多くないと思います。しかし、各業界のトップレベルの企業は何らかの悩みを持っているようです。
市販の教育コースや教育カリキュラムが無い場合、その企業はどう対処するのでしょうか?企業全体のデータ構造を最適化するスキルの例で説明します。
第一の解決策は、自前の教育コースを作成し、定期的にこれを実施する方法です。たとえば、一般的なデータモデルパターンを学習することによって、事業戦略として記述された文言とデータ構造の整合性をチェックするスキルを身につけます。その後、自社の事業戦略がデータ構造に正しく反映された姿を想定します。これが頭に入っていれば、不適切なデータ構造に出会ったときに、「何か不思議な形だぞ」「何か変だ」と、瞬時に反応できるようになります。
第二の解決策は、OJTで人を育成する方法です。たとえば、事業戦略として記述された文言とデータ構造の整合性をチェックする場面を経験することによって、スキルを身につけます。最初は本物のエンタープライズデータアーキテクトがチェックするのを横で見ることによって、徐々に何をチェックすべきか学びます。慣れてきたところで自分でもチェック作業を担当できるようになります。OJTはプロジェクト対応で実施することになるため、チェックのための事前準備にかなりの時間が必要になります。
いずれにしても、エンタープライズデータアーキテクトが身に着けるべきスキルは、一般のデータベーススペシャリストのスキルとは異なります。ビジネス領域の要求と骨格レベルのデータ構造を関連付けて、データ構造全体を最適化できなければなりません。
























